10年ぶりに県予選を制した選手に浮かれた様子はなかった。「本当の勝負は全国に行ってからと思っているんでしょう。自分たちもそうだった」と懐かしそうなまなざしを送る。

 海部高3年生だった2006年、全国選抜優勝大会に出場し、県勢としては7年ぶりとなる1回戦突破を果たした。「自分の時も全国で1勝することを目標に頑張った。その達成感をこの子たちにも味わわせてやりたい」と、12年前の再現を思い描く。

 指導者を目指して天理大に進み、卒業後は出身地の石井町のスポーツ指導員や貞光工高(現つるぎ高)コーチを歴任。14年、母校に戻り、恩師だった多田孝司監督のアシスタントで再びコートに立った。3年前から後任として指導に当たる。

 バスケットボールの本質は「ハビット(習慣)スポーツ」と言う。1試合の得点回数が多く、ワンプレーの重みよりも、いかにコンスタントに確度の高いプレーを続けられるかが大事と指摘。「プレーを習慣づけるためには練習で繰り返すしかない」。練習で気付いたことはその場で選手に伝え、考えさせている。

 自身も勉強熱心だ。元日本代表を講師に招いたクリニックに参加したり、徳島市内の強豪校へ出稽古に出向いて練習方法を学んだり。「全国で勝つためにこれ、という答えは一つでないと思う」と持論を語る。

 バスケット漬けの日々の息抜きは釣り。休日は地元の海岸でのんびりとさおを振ることが多い。30歳。