終活で考えておくべき重要項目の一つが葬儀についてです。
実際に様々なお葬式に携わってきた葬儀のプロに最近の葬儀事情や終活を行う上での心得についてお話をうかがいました。

 

和合健一さん
全日本葬祭業協同組合連合会常務理事、有限会社東阪社代表取締役。全国各地で葬儀や終活についての講演活動を行うほか、大阪府ならびに府内市町村等と災害時における遺体の安置・搬送等の協力に関する協定を結ぶなど社会貢献活動も幅広く行っている。

人のつながりが薄れ葬儀の大切さがわからない時代に

 

今は、全国的に家族葬が増加する傾向にあります。実際に「◯◯さんが家族葬をされたから私も家族葬で…」とか「◯◯さんが家族葬をされたのに、私の葬儀でご近所を呼ぶのはいかがなものか?」といった相談をよく受けます。私は「一生懸命に人生を生きてきた人の、最後の集大成となる葬儀なのに、そのようなお送りの仕方でよろしいのでしょうか?」とお話をさせていただくのですが…。
また、40・50代の方から「葬儀に行くのが初めてで、何をすればいいのか分からない」というご相談を受けることもあります。これには家族構成が関係していると思います。昔は、祖父母・両親・子供の三世代同居の家が多く、こどもは毎日の生活の中で礼儀やしきたりを祖父母から自然に学んでいました。
しかし、核家族・共働きの家が多い今は、家族間のコミュニケーションが少なくなっています。礼儀やしきたりを学ぶ機会は少なく、ましてや葬儀や供養の話をすることはほとんどないでしょう。葬儀に関しても、ご近所の方がおくやみに来るケースは少なく、子供が親に連れられて葬儀に参列する機会も少なくなっています。そうなると葬儀がどんなものなのか、何をすればいいのか分からなくなって当然です。
時が経つにつれ、世の中はだんだん便利になってきましたが、その反面、家族のコミュニケーションやご近所とのつながりが薄れ、葬儀の大切さも弔う気持ちも供養をする心も分からなくなってきているのが現状です。

感謝の気持ちや、人の思いを大切にした葬儀が悲しみを癒やす

 

事前相談でよく耳にするのが「葬儀のことで子供に迷惑をかけたくない」という言葉です。そんな時、私は「それは迷惑ではありません。子供さんが成長されたのは親御さんのおかげ。その恩を返せるのは親孝行だと思います」と話をします。親が子供を思うように、子供は子供なりに親の最期はできるだけ精一杯してあげたいと考えているはずです。「子供に迷惑をかけたくない」と言う前に、一度、話をして互いの思いを共有してみてはいかがでしょう。
また、今は香典を辞退するケースもあるようです。香典には葬儀費用の相互扶助というだけでなく、亡くなられた方への感謝の気持ちが込められています。「お世話になった」という気持ちで持ってこられるのに、辞退されたら何か否定された気持ちにならないでしょうか?香典を受け取ることも感謝の気持ちの表れです。世間の流れで人のつながりを切るような香典辞退になっているのは寂しいものです。葬儀とは、送り出す人が心の整理をする場だと思います。親の葬儀を精一杯したことで子供の気持ちに整理がつきます。
また、何十年来の付き合いがあった親戚や友人を、最後に見送ってあげることが出来たことで、お悔やみに訪れる人の気持ちも癒やされます。
だからこそ、人のつながりを大切にした葬儀にしなくてはいけないと思います。

書き残すことであなたの思いが葬儀に反映される。

 

家族は葬儀についてあなたがどんな思いを抱いているのか分かりません。生前から自分の思いを伝えておくことが大切です。直接話をして伝えることができればベストですが、そんな機会がなければエンディングノートなどに葬儀の規模や呼んでほしい人、自分の宗派や家紋などを書き残しておくことです。
また、葬儀の際に故人の生前の様子を映像で流すことがあり、写真を用意する必要があります。しかし、最近は携帯電話やスマホで写真を撮ることが多く、個人の携帯の中には写真が入っているのだけれど、パスワードが分からず取り出せないことがよくあります。携帯の中に友人や知人の連絡先も入っています。家族にパスワードを伝えておくことも考えておきましょう。
さらに、好きな曲や趣味なども詳細に書き残しておけば、葬儀社は葬儀で好きな曲を流したり、メモリアルコーナーで趣味の物を飾ったりしてくれます。自分らしい葬儀を挙げるためにも「書き残す」ということを、ぜひ、終活に取り入れてください。

事前相談はお気軽に!

最近は、葬儀の事前相談が増え、だんだんと定着してきました。葬儀社でも、事前相談員の認定資格を持ったスタッフがいたり、接客方法やマナーなどお客さまとの対応を徹底したりして、事前相談を受ける体制を整えています。まずは気軽に問い合わせしてみましょう。
事前相談では、自分の葬儀の規模や形式について相談できるだけでなく、お葬式のことがよく分からない?どんな準備をすればいいの?など様々な疑問にも答えてくれます。葬儀費用の見積もりも出してくれます。お金の話は切り出しにくいと思いますが、曖昧にするのではなく、しっかりと確認しておきましょう。きちんとした見積もりを出してくれるところなら安心できるので、葬儀社を選ぶ上での判断材料にするのもいいですね。また、生前予約制度を設けている葬儀社もあります。とはいえ、葬儀社に相談にいくのは勇気がいるという方もおられるでしょう。そんな方は、家族と一緒に相談に行ってみてはいかがでしょう?