皇太子さまが新天皇に即位されるのに先立ち、来年4月1日以降に新元号を公表するとした政府の方針には合理性がある
元号変更に伴う官民のシステム改修などには準備期間が必要だ。即位日の5月1日に改元の政令を公布した場合、改元は翌2日になるというから、なおのことである
元号は天皇と「一体不可分」とする伝統を尊重し、自民党保守派は即位後の公布にこだわる。今の天皇陛下の在位中、次の元号が公になると、天皇一代に一元号という明治以降の「一世一元制」に矛盾するのではないか、と心配しているのである
元号の起源は中国にあり、統治者は土地や人民とともに、時間をも支配するとの考え方に基づく。日本では皇権の象徴となった。7世紀の「大化」に始まり、一代に何度か改元するのが普通だった。皇統が分裂した南北朝時代は、双方の元号がそれぞれの支配地域で使われた
古代以来の制度ではあるが、主権が国民に存する現在、その在り方も国民に委ねられている。明治以来の新しい習慣に、必ずしも固執することはない
昭和から引き継いだ当初は、どこかこそばゆかった平成も今ではすっかり身についた。その経験から思うのである。元号は、国民が育てていくものだ。改元であたふたするより、落ち着いて次代を迎えられる政府方針を小欄は支持する。