小児のけいれんで最も多いのは熱性けいれんです。日本人では7~8%の子どもが熱性けいれんを起こすと言われますが、一生のうちに1回か2回の熱性けいれんで終わることがほとんどです。

 熱性けいれんは生後6か月から60か月の乳幼児に起こり、38℃以上の発熱に伴う発作性の疾患です。熱性けいれんは脳の未熟性に加え、その誘因となる発熱性疾患があり、さらに遺伝的な素因が関わって発生すると考えられます。家族に熱性けいれんがある時には発生のリスクが高くなります。

 熱性けいれんが体の一部や片側に発生する場合、持続時間が15分以上続く場合、同じ発熱機会に複数回反復して起こる場合、これが一つでもあれば複雑型熱性けいれんと呼びます。これ以外は単純型熱性けいれんです。

 初めての熱性けいれんで問題になるのは原因疾患の有無です。特に複雑型熱性けいれんでは中枢神経系の疾患の有無、髄膜炎や脳炎・脳症など感染症に注意します。

 初発の熱性けいれんでは再発する確率が30%前後あります。若年性、熱性けいれんの家族歴、比較的低い発熱で発作が起こっている、発熱から発作な出の時間が短いことなどは熱性けいれんの再発因子になります。

熱性けいれんの背景に発達遅滞や神経学的異常所見、てんかんの家族歴などがある時にはてんかんに移行することがあり、注意が必要です。

頻回再発する熱性けいれんの予防にはジアゼパム坐剤を使用することが一般的ですが、単純性熱性けいれんでは必ずしも必要な薬剤ではありません。