徳島県と徳島大産業院が、地元産の野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大に向け、シカ肉を使った生ソーセージと肉団子を開発した。大がかりな調理器具が必要なく、食肉処理施設が持つ食肉販売業の資格で製造できる。県内の処理施設にレシピを提供し、県産シカ肉の販売促進と収入向上につなげてもらう。
生ソーセージは香辛料でスパイシーに仕上げ、肉団子は和食に合うようショウガを練り込んでいる。いずれもシカ肉と豚肉をほぼ同じ割合で混ぜ、低コスト化するとともに親しみやすい味にした。非加熱の「半製品」のため一般消費者に小売りできず、業務用として販売する。学校給食や農家民宿への卸販売などを見込んでいる。
27日、石井町の同大生物資源産業学部で試食会があり、県内の処理施設経営者や自治体関係者ら25人ほどが出席。「食べやすく、豚肉のみの製品とは異なる風味も楽しめる」といった意見が出た。
野生鳥獣による県内の農作物被害は年間1億円を超えている。害獣として捕獲されたシカやイノシシは、県内8カ所9施設の食肉処理施設で加工・販売されている。
シカは捕獲頭数の2%ほどしか食材に活用されておらず、県が徳島大に製品開発への協力を求めていた。