国際社会の分断と対立の構図が顕著になってきた。象徴的な出来事が、11月に開かれた日本や米国、中国など21カ国・地域によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議だ。

 米中の首脳が通商政策を巡って真っ向から主張をぶつけ合ったため、首脳宣言が採択されなかった。1993年の発足後初めてのことである。

 各国が築いてきた協調体制や、当然のこととされてきた反保護主義の価値観を共有することが困難になっている証左だろう。

 その2週間後の20カ国・地域(G20)首脳会合は首脳宣言を採択したものの、自由貿易推進の象徴となっていた「保護主義と闘う」との文言が削除された。

 自国第一主義を掲げるトランプ米大統領が強硬姿勢を崩さなかったためで、G20が守ってきた多国間協調体制は大きく後退することになった。

 分断に拍車が掛かり、世界経済の先行きや持続可能性も懸念されている。解決策を見いだすには、国際社会が危機感を共有し、結束することが何より重要だ。

 トランプ政権は今年に入って中国との貿易不均衡、知的財産権保護などで追加関税措置を順次発動。中国も同様に応酬を続けている。

 来年2月末を期限に摩擦解消の協議に合意したが、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部の拘束により再び険悪な状況だ。

 米中とも貿易戦争の影響が出てきており、国内環境は不透明感を増している。早急に交渉の場を設け、打開策を見つけてもらいたい。

 トランプ氏は中国だけでなく、さまざまな国との対立も引き起こしている。

 欧米など主要6カ国とイランが締結した合意からの離脱を5月に表明したほか、10月には旧ソ連と87年に結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約にロシアが違反しているとして廃棄を表明した。

 核軍拡に陥る恐れがある。関係国は歯止めをかける努力を怠ってはならない。

 トランプ氏の言動は予測不可能といわれる。中でも世界を驚かせたのは、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談だ。

 日本など周辺国は北朝鮮の核・ミサイル開発に振り回されてきた。朝鮮半島の非核化へ道筋をつけられるのか。拉致問題で進展はあるのか。歴史的な会談は6月12日、シンガポールで行われた。

 会談後に「朝鮮半島の完全な非核化」を目指すと明記した共同声明を発表した。ところが、具体策は先送りされ、その後の協議は膠着(こうちゃく)状態となっている。

 2回目の首脳会談が越年となったのは残念だが、腰を据えて交渉するしかあるまい。

 北朝鮮を巡る問題は依然として世界の不安定要因の一つであり、米国任せにしてはならない。非核化へ、国際社会の断固とした決意と結束力が求められる。