今季を9位で終え、サポーターの前であいさつする徳島の選手たち=20日、鳴門ポカリスエットスタジアム

 J2徳島ヴォルティスは9位で2016年のシーズンを終え、2年ぶりのJ1復帰を逃した。成績は16勝9分け17敗で勝ち点57。システムの構築が遅れた結果で、シーズン終了直前には長島監督の「解任」が決定したが後半戦は10勝5分け6敗と好成績を残した。後任監督には後半戦の好調さを来季につなげる手腕が求められる。

 6日に鳴門ポカリスエットスタジアムで行われた第40節の札幌戦。既に来季のJ1昇格は断たれていたが、選手は意地を見せた。MF渡、FW山崎の2連発で、40試合目にして初めて逆転勝利をつかんだ。前からのプレスでボールを奪い、素早い切り替えで、相手ゴールに迫る。今季の徳島が目指したサッカーの集大成のように映った。

 後半戦の勝ち点は35。優勝した札幌の37に迫る数字だ。尻上がりに順位も上がっただけに、6勝4分け11敗と、負けが先行した前半戦の不振が痛かった。

 要因の一つは選手の故障だった。中盤のキーマンとして期待されたMFカルリーニョスや守護神のGK長谷川らを欠いたままシーズンに突入。開幕から7戦で1勝1分け5敗とスタートダッシュに失敗した。

 ベンチは戦力不足を戦術でカバーしようと、試行錯誤を重ねた。だが、起用する選手や対戦相手に合わせて頻繁にシステムを変えたことが中途半端な戦いを招いた。

 第4節の東京V戦では攻撃的サッカーを掲げながら、失点を防ぐために守備重視の布陣をした。ただ、選手間にはシステム変更への戸惑いがくすぶり、0-1で敗れた。MF大崎が「戦い方を統一することが大事」と話したように、この時点でチームの一体感は未成熟だった。

 迷いにも見えたベンチの戦略。個の状況判断やポジショニングに影響を及ぼし、それが得点力低下に結びついた側面も否めない序盤戦となった。

 守備の安定と得点力不足の解消策として、第8節の山口戦からはマークが徹底できてサイド攻撃が仕掛けやすい3バックのシステムを導入した。

 バランス重視の4バックではなく、攻撃重視の戦略はチームの戦力にマッチ。運動量豊富な内田と広瀬の両翼がボールを上下に動かしクロスやドリブルでゴール前に切り込むサイド攻撃は徳島の得点パターンとなった。

 第13節の清水戦では、カルリーニョスが戦列復帰。横方向の動きが活性化し、サイドチェンジで相手の守備を崩し競り勝った。右サイドでチャンスメークした内田は「前に出る意識とカルリーニョスのパスがうまくはまった」。戦力が整いチームの意思統一が軌道に乗り始めた瞬間だった。

 システムが固まり攻守で好循環が生まれた。得点が増えて失点は減少。清水戦以降、2点差をつけられての敗戦はゼロ。前半戦では一度もなかった連勝を後半戦だけで3度マークするなど攻守がかみ合った。総得点は46点と昨季の35点を上回り、最大マイナス7だった得失点差も最終的にはプラス4まで回復した。

 リーグ戦が終わり、監督の後任人事は、最終段階を迎えている。岡田明彦部長は「今のチームの方針に共感し、さらによくできる人材を選ぶ」と話す。21日には後任監督にスペイン人指導者の名前が浮上した。長島監督がつくり上げたスタイルをどう継承し、発展させるかが来季のテーマとなる。