とくしま文学賞で最優秀賞に選ばれた桐本さくらさん。自分らしさをテーマに青春小説を書いた=城南高

 第16回とくしま文学賞(徳島県、県立文学書道館主催)の児童文学部門で、城南高校2年の桐本さくらさん(17)の「青春さんは歌を歌う」が最優秀賞に選ばれた。同部門で高校生が第1席となったのは初めて。学校生活のリアルな日常をみずみずしい感性で描き、自分らしく生きることの素晴らしさを表現した。

 受賞作は、中学校で最後の文化祭を控えた中学3年生の「私」と幼なじみの「勝磨」の成長物語。「ぼわっと薄く青色が空に落とされて風が雲を押しながら進んでいく」。詩的な文で始まり、中学生の飾り気の無い会話が展開されていく青春小説となっている。

 自分らしく生きる勝磨をうらやましく思う私。やがて、勝磨にも悩みや葛藤があると知り、毎日を精いっぱい生きることが大切だと気付いていく。

 「自信が無くて悩んでいる人に読んでほしい。主人公のように自分を肯定できるようになるきっかけになればうれしい」と桐本さんは話す。

 リアルな会話は現役の生徒ならでは。執筆時期がちょうど文化祭の準備期間と重なり、学校の様子や通学路の光景をよく観察して作品に生かした。

 小説は今回が2作目。文芸作品の創作を趣味とする母千春さんの影響で、今年から執筆を始めた。第1作目は原稿用紙12枚の作品にまとめ、「徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」に応募。最終選考の対象となる20点に残る健闘をみせた。

 前作は「やや暗い雰囲気になった」と反省し、「青春さんは―」は明るく、爽やかな雰囲気を醸し出したいと思いながら書いた。驚くほど筆が進んだことに気を良くし、「これが私の作風なのかな」と笑う。今回、千春さんも第2席の優秀賞に輝き、親子で受賞を喜び合った。

 執筆中は、自らの内面と改めて向き合うことにもなった。「小説を書くのは、心の内面をさらすようなもの。気恥ずかしさはあるけど、書くことで主人公と同じように悩んでいた自分が報われたかったのかもしれない」

 文学ファンで、明治から大正にかけての作家が好き。特に泉鏡花の戯曲「夜叉ヶ池」は何度も読み返している。

 学校では理系クラス。今後の作品では植物の生態など理系ならではの視点を盛り込むつもりだ。「いずれは50枚の小説を書いて、全国公募の文学賞にも挑戦したいな」と意欲を見せた。