平成最後の年末が過ぎゆこうとしている。本県では徳島市の阿波踊り(8月12~15日)の混乱が、ことし最も注目を集めた。

 阿波踊りの運営を巡る実行委員会と、有名連14連でつくる阿波おどり振興協会との対立が影響し、人出は過去最少の108万人、収支は約2500万円の赤字となった。

 平成を締めくくる阿波踊りが、低調に終わったのは残念というほかない。

 軌道修正に向けて、第三者による有識者会議が有効策を検討している。市に提出した中間報告では「開催日を土、日を含む曜日で固定する」など大胆な案が数多く盛り込まれた。傾聴に値しよう。

 実行委は中間報告も踏まえ、中止した「総踊り」を復活させる方針を決めた。振興協会と運営の在り方について協議を始めるという。

 真摯な姿勢で話し合って対立を解消し、運営の正常化を図らなければならない。

 阿波踊りと並ぶ徳島文化の代表格であるベートーベンの交響曲「第九」は、アジア初演100年の節目を迎え、一段と盛り上がった。

 ドイツの関係者を招いた記念シンポジウムや、初演時刻に合わせた特別公演などを繰り広げ、アジア初演の地・鳴門を国内外にアピールできた。交流の輪をますます大きくしていきたい。

 徳島市が文化活動の拠点として整備する新ホールは、1500席の大ホールを核として市文化センター跡地に建設される見通しとなった。

 候補地が二転三転し、一時は当初計画から1200席に縮小して決着を図ろうとするなど、迷走を続けてきた。

 早期建設の要求は強いが、今後何十年と利用される施設である。市民が誇れる施設の具体像を、市がどう示すかが問われている。

 県の「とくしま記念オーケストラ」事業に関する問題は、事業費以外にも多額の支出が発覚するなど、不透明さが一層強まった。

 飯泉嘉門知事から疑惑解消への詳しい説明はなく、知事と旧知の音楽プロダクション元代表がなぜ事業を主導したのかなど、肝心な部分は依然明らかになっていない。

 来年4月に行われる知事選には、5選を目指す飯泉氏と自民党県議の岸本泰治氏が出馬の意向を表明している。疑惑についても論争を交わしてもらいたい。

 三好市の吉野川でのウェイクボード世界大会開催や、剣山山系で連綿と受け継がれている急傾斜地農法の世界農業遺産認定は、過疎地に活気をもたらした。海外からも人を呼び込むため、さらに情報発信に努めてほしい。

 政界、芸能界で県を代表する元官房長官の仙谷由人氏と俳優の大杉漣氏が死去した。仙谷氏は1990年に政界入りし、大杉氏は93年に北野武監督の映画作品に初起用された。ともに平成を全力で駆け抜けた生涯だった。早過ぎる死が惜しまれる。