第65回記念徳島駅伝(徳島陸協、徳島県、徳島新聞社主催)では、2009年世界選手権男子5000メートル代表で立教大陸上部男子駅伝監督の上野裕一郎選手(33)が、招待選手として初日(来年1月4日)と最終日(6日)に力強い走りを披露し、大会に花を添える。日本の長距離界をけん引してきたランナーに、レースへの意気込みなどを聞いた。
―徳島駅伝でどんな走りをしたいか。
昨年9月にアキレス腱(けん)を痛め、無理を押して出場した今年1月の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)以来のレースとなる。足の状態は今もあまり良くないが、1年ぶりに人前で走ることができるのはうれしく、招待してもらえてありがたい。これまで市民ランナーと一緒に走る機会は少なかったので、交流や触れ合いを楽しみたい。
―今までに印象に残っているレースは。
自分の中で良かったのは二つある。09年の日本選手権で1500メートルと5000メートルの2冠を達成できたことと、17年の日本選手権1万メートルで優勝した大迫傑と競り合って2位になったレース。09年の世界選手権は出場しただけで終わり、活躍できなかったので複雑な思いが残っている。
―所属していた実業団を退団し、立教大監督に就任した。今後は現役を続けながら学生を指導するのか。
監督業がメインになる。競技者ではなく、1人の市民ランナーとして走り続けたい。ただ引退レースを走っていないので、最後はある程度のレベルの大会に出場し、自分の中でけじめを付けたいとは思っている。
―徳島の中高生ランナーにメッセージを。
自分自身も地元の小さな駅伝大会から頑張ってだんだん強くなっていった。徳島駅伝に出場する選手たちは、この機会を生かして何かのきっかけをつかみ、自分の進路につなげてほしい。
うえの・ゆういちろう 長野県出身。佐久長聖高で本格的に陸上を始め、1万メートルの高校記録(当時)を樹立。中大時代は箱根駅伝で3区区間賞を獲得した。エスビー食品入社後、2009年の日本選手権で2冠を達成。同年のベルリン世界選手権出場を果たした。13年にDeNAに移籍し、16年の全日本実業団対抗駅伝で3区区間賞に輝いた。今年11月末でDeNAを退団し、12月1日付で立教大陸上部男子駅伝監督に就いた。