展示資料のレイアウトを検討するドイツ館職員。手前は第九のプログラム=鳴門市の同館

 徳島県と鳴門市は、来年1月に東京、3月に京都で特別展「『板東俘虜収容所』の世界展」を開催する。ベートーベン「第九」初演プログラムなどの資料を県外で披露する初の自主企画で、ユネスコ「世界の記憶」登録に向けた機運を高める。

 ドイツ兵捕虜が発行した収容所新聞「ディ・バラッケ」をはじめ、慰霊碑やドイツ橋の建築当時の写真、家族に宛てた手紙など、市ドイツ館の所蔵資料46点と県立文書館所蔵の1点を並べる。

 松江豊寿所長の人道的な運営方針により、捕虜が音楽やスポーツに取り組んだ歴史的経緯や、デザイン性に優れた収容所の行事プログラムなどの印刷技法をパネル14点で紹介する。

 1月12~20日に東京・渋谷のBunkamuraギャラリーで、3月26~31日に京都市の京都文化博物館別館ホールで開く。いずれも入場無料。

 展示室が広い京都会場では、資料やパネルを追加する。3月30日にはイベントもあり、100年前の1919年3月26日に収容所で開かれた演奏会「室内楽の夕べ」を、京都の学生ら6人が再現する予定。

 今年は、ドイツ兵捕虜が「第九」を全曲演奏してから100年の節目を迎えたほか、収容所跡地が国史跡に指定されるなど、国内外から注目を集めた。特別展の開催で、こうした機運をさらに盛り上げる。

 県と市は「実物の資料を見る感動を多くの人に味わってもらい、世界の記憶登録や収容所跡に関心を持ってもらえればうれしい」としている。

 «板東俘虜収容所» 1917年4月から3年間設置され、中国・青島で捕虜となったドイツ兵約1千人を収容した。捕虜には自発的な活動が許され、ベートーベン「第九」をアジアで初めて演奏するなどした。近代の軍事や外国人との交流に関わる遺跡として重要と評価され、今年10月に跡地が国史跡に指定された。