新しい年が明けた。平成が終わり、5月から新元号による時代が幕を開ける。

 歴史の大きな節目を迎える。平成という時代に得た教訓を生かし、平和と自由、民主主義の理念を引き継いでいく決意を新たにしたい。

 平成が始まった年、冷戦を象徴していたベルリンの壁が崩壊し、希望の灯がともったようにみえた。しかし、グローバル化による負の側面が顕在化し、各地で紛争やテロは絶えない。

 自国第一主義を進める米国と超大国となった中国による貿易戦争は「新冷戦」と呼ばれるほど悪化した。昨年の20カ国・地域(G20)首脳会合は結束力の低下を印象づけた。今年の議長国は日本だ。協調体制の要となる役割を果たす責務がある。

 鳴門市の板東俘虜収容所でベートーベンの「第九」が演奏されてから101年目の足跡を刻む。東京、京都では資料展が開かれる。昨年6月の日独シンポジウムで確認したのは史実を継承しつつ、違いを認め合い、連携を深めることの大切さだ。保護主義的な傾向が強まり、利害の対立や分断が広がる今こそ、発信し続けたいテーマである。

 ■将来像しっかり語れ

 平成の時代も東京一極集中が是正されないまま終わろうとしている。一昨年、東京圏への転入超過は12万人に上った。政府の5カ年計画である人口減少対策は2019年度が最終年度となる。安倍晋三首相の看板政策「地方創生」で、どれほどの人が豊かさを実感できているか。

 人口減少や高齢化が進む地域で期待されているのが、地域外の人材だ。担い手として活性化の力になっている所もある。地域と多様に関わっていこうとする「関係人口」をどう増やしていくのか。国は、地域の魅力を引き出し、可能性を広げていく努力を続けてほしい。

 4月の統一地方選、夏の参院選と選挙の年である。

 徳島県内では年内に、知事選、県議選のほか、6市町村の首長選、12市町村の議員選が予定されている。

 知事選では、5選を目指す現職の飯泉嘉門氏と自民党県議の岸本泰治氏が立候補する意向を表明した。共産党も独自候補を擁立する方針だ。

 昨年4月1日時点の県の推計人口は、戦後初めて74万人を割り込んだ。減少に歯止めがかからない状況下で、豊かで暮らしやすい環境をどうつくりあげていくのか。徳島の未来を決める大切な選挙である。

 「多選」の是非が焦点の一つだが、候補者には将来像をしっかりと語ってもらいたい。私たちの眼力も試されよう。

 平成の歩みに色濃く残っているのは、阪神大震災や東日本大震災、福島第1原発事故などの大災害である。

 昨年起きた西日本豪雨の爪痕も癒えていない。「記録的な―」と表される、これまでに経験したことのない「災」とは無縁でない時代に入ったようだ。

 懸念されるのは南海トラフ巨大地震だ。

 最悪で30万人以上、県内でも約3万人の死者が出るとされる。昨年末、政府の中央防災会議は、この地震につながる異常現象が観測された時の対応を報告書にまとめた。

 東西に長い南海トラフ震源域の半分でマグニチュード(M)8級の地震が起きた「半割れケース」で、残り半分の沿岸住民に、政府が1週間程度の一斉避難を呼び掛けるとしたのが柱だ。命を守る備えはもちろん、「わが家の防災」をいま一度確認しておきたい。自助、共助、公助を絶えず見直していくことが不可欠だろう。

 ■迎える基盤は十分か

 4月には、改正入管難民法が施行される。新たな在留資格が設けられ、本県でも外国人労働者は増えると見込まれる。

 人口が減少すれば人手不足はさらに深刻化するだろう。県内経済界からも歓迎する声が上がっているが、迎える基盤は整っているとはいえない。

 本紙が昨年11月、県内全市町村を対象に行ったアンケートでは、国会審議が不十分だったことへの不安や技能実習制度の問題点の多さを指摘する意見が目立った。県内在住の外国人は約5600人(17年末)で技能実習生が半数近くを占める。近年は中国人が減り、日本との賃金格差が大きいベトナム人が急増している。だが、相談などに十分に対応できていない状況だ。

 全国的には、実習生への賃金不払いや待遇を巡るトラブル、失踪なども後を絶たない。

 本紙1面連載「成熟社会どう歩く」で、哲学者の内山節さんは人手が足りないから受け入れるという経済の都合だけで失敗したフランスなどの例を挙げ、こう書いた。

 <いろいろな国の人々が働きに来て、その何割かは定住するようになる。そういう流動性の高い社会に変えていくという決意をもって導入するのなら、それもひとつの方針だろう>

 そのためには、国や社会についての考え方も変えていく決意が必要になると説く。共生社会のあるべき姿を考えることは、人口減が続くこれからの社会を考えることに重なるだろう。

 人権を保障し、共に働き、共に暮らす住民として受け入れる。意識を高めるためには、地域や教育の現場などで議論を深めることが重要だ。多様な価値観を受容する社会にしていく。その礎を築く年にしたい。