船、飛行機、電車・・・。子どもが大好きな乗り物をはじめ、多種多様な機械の製造を手掛ける川崎重工。「いろいろ強みがあるが、今、社を挙げて取り組んでいるのが次世代エネルギー」と、先進分野に挑戦する構想を語る。

 次世代エネルギーとは水素を指す。燃やしても二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーだ。「われわれの持ついろんな技術を組み合わせ、製造から供給までメインプレーヤーになるのが目標」と力を込める。

 構想は具体化している。オーストラリアで水素を精製・液化し、自社で建造した運搬船で日本まで運ぶ。「現在、液化水素運搬船や液化水素の荷揚げ施設を造っており、2020年度に2国間の輸送を試験実施する予定」と明かす。将来的に発電や自動車の燃料などに利用される見込みだ。

 大学の同級生の多くは金融機関への就職を目指したが「メーカーの方が面白い」と川崎重工を選んだ。入社後は主に財務・経理部門を歩み、現在は社長を補佐する立場。「社のトップは理系出身が多い。私の知見でバランスが取れれば」と話す。

 入社7年目に「カワサキ」のオートバイを販売する米国の子会社に赴任。7年半駐在し、米国人の底力の源泉を知った。「どんな困難に直面しても前向き。なんでこんなに明るいのかと思った」。その時の経験は今に生かされている。

 2年前、明石工場(兵庫県明石市)の徳島県出身者でつくる「すだちの会」の会員20人と一緒に、徳島市の阿波踊りで「にわか連」に参加。大学以来、約40年ぶりに乱舞の渦に包まれ、古里の魅力を再確認した。

 東京本社を拠点に神戸本社にも顔を出し、多忙な日々を送る。母の顔を見るための2、3カ月に1回の帰省で、心と体を癒やす。

 とみだ・けんじ 徳島市生まれ。城南高、京都大経済学部を卒業。1978年に川崎重工に入社。2007年に理事経営企画部副部長となり、船舶海洋カンパニー企画本部長、代表取締役常務モーターサイクル&エンジンカンパニープレジデントなどを経て18年4月から代表取締役副社長執行役員・社長補佐。63歳。