人の波にもまれ、二重橋を渡る。宮殿の屋根が見えたころ、大歓声が聞こえた。「晴れ渡った空の下」。語り掛けた陛下の声が弾んでいた。見上げた青空に雲一つなく、陽光が降り注いでいる

 新年の一般参賀に行ってみた。東京駅からの道は、箱根駅伝スタートの交通規制と重なり、のろのろと亀の歩みだ。皇居前広場で待たされて、1時間が過ぎた。「今、6度ですよ」「でも風がなくて良かったわ」

 開門を待ちわびるうち、見知らぬ同士の会話が始まる。「25年前に来た時は、すうっと入れたもんだが、すごい人だね」。耳に入ってきた男性のつぶやきに、当時を思い出す

 1993年の参賀者は、5万3千人にも届かなかった。さらにこのころ、週刊誌を中心に「皇后バッシング」が始まり、その渦中で皇后さまが倒れた。歩み始めたばかりの平成流への逆風だった

 迎えた翌年は、前年の2倍を超える11万人が皇居に押し寄せて、傷ついた両陛下を励ました。そして今年、平成最多だった昨年の記録を上回る15万5千人が列を作った。若者、外国人、子ども連れが目立つ。組織や動員に関わらない一人一人が積み上げた数字だ

 たかが人の数、と侮るなかれ。「国民に寄り添う」と誓った平成皇室にとって、人々の歓声こそ元気の源なのだ。陛下の笑顔は、どこまでも晴れやかだった。