長期政権を続ける安倍晋三首相が、今年も「1強体制」を保てるか。鍵を握るのが、春の統一地方選と夏の参院選である。

 首相は昨年、自民党役員会で「地方選でしっかり基盤を固めて参院選を戦いたい」と述べ、勝利に向けて全力を挙げる考えを示した。これに対して、野党は参院選での統一候補擁立を目指し、調整を進めている。

 内政、外交とも重要課題が山積する中、与野党はどんな理念、政策を掲げて戦うのか。国の針路を左右する決戦となるだけに、政治の動きから目が離せない。

 4年ごとの統一選と3年ごとの参院選が重なるのは、12年に1度のことだ。干支にちなんで「亥年選挙」という。

 前回の2007年は、くしくも安倍首相が第1次内閣を率いていた時だった。その参院選で惨敗し、2カ月後の退陣につながった。

 一般に地方選後の参院選は、地方組織や議員が疲れていることから、自民党が苦戦するとされる。加えて、今回は大量当選した13年組が改選を迎えるため、議席の維持は難しいとみられている。

 野党時代の12年衆院選を含め、5回の国政選挙を制した首相も、さすがに07年の苦い記憶が消えないのだろう。選挙に不利となるのを避けるため、今月召集の通常国会に、与野党が対立する法案は提出しない方針という。

 しかし、昨年成立した改正入管難民法は、曖昧な部分が残ったままだ。護衛艦「いずも」の事実上の空母化は専守防衛に反する恐れがあるが、政府の説明は説得力に欠けている。森友、加計学園を巡る問題も、いまだ解明されていない。

 通常国会で議論すべきテーマは多い。対決法案を出さなくても、これまでのような不誠実な答弁では、国民の批判をかわせまい。首相が強調する「謙虚さ」が問われよう。

 首相は昨年末、20年の改正憲法施行を目指す考えを改めて表明した。だが、改憲論議は参院選後まで本格化させない構えだ。選挙前に触れず、終われば本領を発揮するというのでは無責任と言わざるを得ない。

 自民党総裁選で連続3選を果たした安倍首相は今年、通算在職日数で歴代首相を次々と抜く。2月に吉田茂、6月に伊藤博文、8月に大叔父の佐藤栄作を超え、11月には戦前戦後を通じて最長の桂太郎の記録を塗り替える。

 ただし、選挙を乗り越えられればの話だ。結果によっては政権の座が揺らぐ。参院で与党が3分の2を割り込めば、悲願の改憲も遠のこう。

 12年前の亥年選挙は当時の民主党が圧勝したが、今の野党にそんな勢いはない。共闘を実現させ、政策を明確に示し、国民の信頼を取り戻すことができるか。

 衆参同日選の可能性もささやかれる中、長期政権の功罪とともに、野党の力量も問われる。