曲がりくねって上に伸びる土台の随所に土を盛り、五葉松や季節の植物を手早く配す。バンド演奏やダンスミュージックに乗って豪快、軽快に。作風も、制作手法も既成概念を吹き飛ばす、三好市出身の平尾成志(まさし)さん(37)=さいたま市=の「盆栽パフォーマンス」である

 4年前にイタリア・ミラノ万博で実演したのは記憶に新しい。いま国内外で熱い視線を浴びる気鋭の表現者。そんな平尾さんはかつて中長距離走の選手だった

 克明に覚えているレースがあるという。1999年の徳島駅伝。所属する旧三好郡チームが2位になった。三好の2位は、後にも先にもこの年だけ。平尾さんは高校3年生ながら最終走者を務め、喜びのゴールに飛び込んだ

 チームに突出した実力の選手はいない。良くて4位が目標だった。成績はもとより、チームの雰囲気の良さが印象深いという。「みんなが楽しく走れ、力以上を出せた。苦しいと感じずに走り切れたレースは、選手人生の中であの時だけです」

 きょう、第65回の号砲が鳴る。4人の五輪ランナーを輩出した「平成期」は最後となる

 陸上は断念したが平尾さんは目下、来夏の東京五輪の式典で盆栽パフォーマンスをする夢に向けて突き進んでいる。徳島駅伝の経験を糧にしているのは、平尾さんだけではないはず。これまでも、これからも。