佐藤広一監督(左)とナレーションを担当した大杉漣さん(山形国際ドキュメンタリー映画祭提供)

 映画評論家の故淀川長治氏が「世界一」と評し、1976年の酒田大火の火元となり一夜で灰になった、山形県酒田市の洋画専門の映画館グリーン・ハウス。同館を愛した人々の証言を集めた映画「世界一と言われた映画館」が5日から東京、山形を皮切りに全国各地で上映される。ナレーションは昨年2月に急逝した小松島市出身の俳優大杉漣さんが務め、映画に魂を吹き込んでいる。

 地元を見つめ直す企画として山形県天童市の佐藤広一さん(41)が監督を務め、2017年の山形国際ドキュメンタリー映画祭に合わせて製作された。作品を見た各地の映画関係者から引き合いがあり拡大上映が決まった。

 娯楽の乏しい時代に庶民が夢を見られる特別な場所となったグリーン・ハウス。映画に登場するのは通い詰めたファンや元従業員ら。瞳をきらめかせ、思い出を誇らしげに語る。

 撮影前は、焼失面積22・5ヘクタール、1人が死亡し1003人が負傷した「大火の火元」というタブーに触れる迷いがあった佐藤監督にとって、その表情は予想外だった。「40年後、僕らにああいう目をして語れる場所はたぶん無い」。貴重な証言を残す使命感を感じ、67分の作品に仕上げた。

 ナレーションを務める大杉漣さんについて佐藤監督は「漣さんのおかげで映画に血が通った」と感謝し「全盛期に突然消えたグリーン・ハウスと漣さんの最期が重なる」としのんだ。大杉さんも心待ちにしていたという全国展開。佐藤監督は「年配の方には自分の好きだった映画館を重ね、若い人には当時の雰囲気を想像して見てほしい」と話している。

 公式サイトによると、3日時点で徳島県内での上映は予定されていない。上映館や公開日は同サイトhttp://sekaiichi-eigakan.comで確認できる。