昨年6月のトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との歴史的会談を機に、朝鮮半島はひとまず平穏な状態が続いている。しかし、このまま北朝鮮の核・ミサイルの脅威がなくなるとは誰も思っていまい。

 非核化を巡る米朝協議が難航している。具体的な行動を求める米国に対し、北朝鮮は制裁解除などの見返りを要求、中国や韓国との関係を深めている。

 協議がまとまらなければ、半島は再び緊張状態に陥る可能性がある。日本にとっても憂慮すべき事態だ。

 トランプ氏は、今月か2月中にも2回目の会談を行うとしている。歓迎したいが、具体的な成果が得られなければ国際社会を失望させ、外交手腕も厳しく問われることになろう。日本ともしっかりと意見調整した上で会談に臨んでもらいたい。

 世界中で保護主義が広がっている。国際社会は安定へ向かうのか、それとも混乱に拍車が掛かるのか。

 その鍵を握っているのはトランプ氏であり、最大のリスクとの指摘もある。とりわけ、懸念されるのが中国との貿易摩擦の行方だ。

 トランプ氏は昨年3月、中国製品への追加関税を柱とする制裁措置の大統領令に署名。以降、対立が激しさを増しているばかりか、ハイテクや安全保障の分野へも飛び火し、「新冷戦」の様相も呈し始めている。早急に着地点を探る必要がある。

 「米国第一」主義を掲げるトランプ氏は、既存の国際秩序にも背を向け、亀裂を生じさせている。

 環太平洋連携協定(TPP)をはじめ、地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」やイラン核合意からの離脱表明、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約に関する条約廃棄の方針も明言した。

 ただ、昨年11月の米中間選挙で民主党が下院を奪還し、ねじれ議会となったことで、政権は混迷。トランプ氏自身もロシア疑惑などで窮地に陥ることが予想される。

 まもなく1期目の折り返しを迎えるトランプ氏が、支持者向けにどのような施策や戦略を打ち出すか。注視しなければならない。

 欧州連合(EU)の動きにも目が離せない。3月29日に離脱日を迎える英国では、EUとの離脱合意案を巡り、議会が依然として混乱状態だ。

 欧州のリーダー格である独仏のトップも試練を迎えている。独のメルケル首相は難民政策によって求心力が低下。仏のマクロン政権も、黄色いベスト運動の抗議デモもあって危機的状況だ。

 反移民・難民や経済格差など困難な問題が噴出しているが、打開の糸口は見いだせそうにない。

 ポピュリズム(大衆迎合)の広がりで、協調体制は弱まり、期待が失望へと変わりつつある。EUは今、岐路に立っており、その針路は国際社会に大きな影響を及ぼす。