かの菅原道真も、その効用を説いたとか。「年をとっても、碁を打っていれば老いぼれたりはしない」。老練なご隠居が、勢いだけが取りえの八っつあんや熊さんを難なく負かす図は、いかにも落語などにありそうだ

 ところが、最近はそうでもないらしい。長年培った技術や経験も、若さにはかなわなくなってきた。16歳、将棋の藤井聡太七段しかり。知力勝負の囲碁や将棋で、活躍する棋士の低年齢化が進んでいる

 とはいえ、ここまでいけば天才と呼ぶほかないのだろう。最年少でプロ入りを決めた仲邑菫さんは9歳、小学4年生。プロになる4月1日時点では10歳0カ月で、藤沢里菜女流本因坊の11歳6カ月を9年ぶりに更新する。父は信也九段

 3歳で碁を打ち始め、韓国でも修業を積んだ。国際棋戦を席巻する中韓に対抗し、日本棋院が創設した「英才特別採用推薦棋士」に選抜されてのプロ入りである

 数年前からトップに君臨する中国の柯潔九段は21歳、韓国の朴廷桓九段は25歳。女流のトップクラスも中心は20代前半だそうだ。世界と渡り合うには、早くからプロとして腕を磨く必要があるという

 低年齢化の波は、やがて一般社会にも広がるのかもしれない。長年の技術や経験を、人工知能(AI)がしのぎ始めている。仲邑さんの笑顔を見ながら、わが身の置き所を思った。