大塚製薬(東京)は8日、飲酒の欲求を抑えて「減酒」を促し、アルコール依存症を治療する新薬の国内での製造販売承認を、同日付で厚生労働省から取得したと発表した。近く医療機関向けに販売を始める。飲酒量を低減させる治療薬の承認は国内初めてで、これまで断酒が中心だった治療の新たな選択肢として期待される。

 新薬は「ナルメフェン」(商品名・セリンクロ錠10mg)で、飲酒の1~2時間前に服用すると、飲酒の欲求が満たされた時に活性化する神経に作用し、過度な飲酒を抑える仕組み。患者の飲酒量を減らす過程を補助することで、患者のストレスを和らげながら減酒や断酒の達成、その継続を後押しする。

 アルコール依存症の治療は、入院や、飲酒時に不快感をもたらす抗酒薬などでの断酒が主流となっている。一方、患者によっては我慢できずに治療を途中でやめたり、リバウンドしたりすることが課題になっていた。

 ナルメフェンはデンマークの製薬大手ルンドベックが開発し、欧州で2013年に販売を開始。日本では大塚製薬がルンドベック社と同年、共同開発と商業化で合意し、国内製造販売の承認を得るため、15年から臨床試験を行ってきた。

 ルンドベックが海外拠点で製造し、大塚製薬が徳島県内の工場で包装、出荷する。大塚製薬は「アルコール依存症は健康や仕事、家庭生活に重大な支障をきたす疾患。新たな選択肢を示して治療に貢献したい」としている。

 厚労省によると、13年の全国調査の結果、治療の必要なアルコール依存症患者は約109万人いると推計されている。