雨が降りしきる中、水浸しのダイヤモンドに歓喜の輪ができ、養父監督が両手を大きく広げて5度、宙を舞った。就任1年目での偉業達成。「選手が著しく成長した。褒めてやりたい」とかみしめるように言った。
いつ中断するか分からない状況で、狙い通りに先行逃げ切りの勝ちパターンに持ち込んだ。ぬかるんだマウンドで制球に苦しむBCLの最多勝左腕を一回から攻略。1死満塁から三国が「ゴロを転がせば、何とかなるはず」と左前に先制打を放った。さらに内野ゴロで2点目。右腕松本が6回を最少失点でしのぎ、降雨コールドゲームで激闘に終止符が打たれた。
戴冠への道は平たんではなかった。四国ILの前期優勝を支えた外国人が相次いで退団。得点力不足から後期は最下位に沈んだが、ポストシーズンでの巻き返しに向け、守り勝つチームづくりを進めた。
軸になったのが伊藤翔、大蔵、松本らの投手陣。失点を最小限にとどめ、少ない好機をものにする形が整った。
GCSでもMVPを獲得した18歳の伊藤翔は「苦しいときの援護点が大きかった」とチームメートへの感謝を口にする。小林主将は「一人一人が役割を果たせた。上位も下位もつなぎの意識が最後まで強かった」とチーム一丸の勝利を強調した。
徳島出身で唯一のレギュラーの平間は入団3年目でつかんだ日本一。後期に不動の遊撃手となり「勝ちたい一心でやってきた。やっとチームの一員になれた」と安堵(あんど)した。
日本野球機構(NPB)入りを目指すナインに指揮官は伝えてきた。「強いチームの選手でなければ話も聞いてくれない。日本一になって自らの道を切り開け」。勝利を求める貪欲さが進化を促し、大輪の花を咲かせた。
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