資材置き場名目で農地転用した後に建設された太陽光発電=阿南市那賀川町

 資材置き場にするとの名目で転用された徳島県阿南市内の優良農地に太陽光発電所が相次いで建設されている問題で、農林水産省中国四国農政局が徳島県に対して事実確認を指示したことが9日、分かった。県は近く阿南市農業委員会に調査を求め、実態把握に乗り出す。

 中国四国農政局は、徳島新聞がこの問題を報じた8日、県に事実関係を把握するよう求めた。資材置き場を目的とした農地転用の許可後に太陽光発電所ができた土地がどれだけあるかなどを調べるのが目的。県が農政局と具体的な調査内容を協議している。

 農地転用の許可権限を持つ阿南市農業委員会が関係書類を保有しているため、実際の調査作業は県から市農業委に依頼する。場合によっては同市以外にも調査対象を広げる可能性があるという。

 また、県は近く県内全市町村の農業委に対して通知を出し、資材置き場を目的とした農地転用の審査を改めて慎重に行うよう指示する。

 農政局は「まず事実関係を把握し、法令違反に当たれば適正な対応をするように指導したい」としている。

 阿南市内では、資材・製品置き場にする目的で農地転用が許可された土地に、太陽光発電施設が相次いで建設されていることが徳島新聞の取材で判明。計画段階も含めて2013年以降で少なくとも94カ所あり、うち72カ所は太陽光発電を目的とした転用ができない「甲種農地」「1種農地」だった。地元選出の島田正人県議らが発電事業に携わっていることも明らかになった。

 ■阿南市長に聞く

 阿南市の農業委員を任命している岩浅嘉仁市長に、今回の問題をどう受け止めるのか、今後どう対応するかなどを聞いた。市長は市農業委員会に適正な転用手続きをするよう改善を求める考えを示した。

 -甲種農地と1種農地で、資材置き場名目で転用された後に太陽光発電所が建設された土地が72カ所に上っていたことが徳島新聞の情報公開請求で明らかになった。どう捉えているのか。

 太陽光発電が全国的なブームとなり、市内でも増えているが、優良農地にこれだけ多く建設されているとは承知していなかった。大変驚いている。

 -資材置き場名目の転用申請が農地法の規制を免れる「抜け道」になっているとの指摘もある。

 制度の盲点を突いている。太陽光発電事業を計画しながら資材置き場名目で出された転用申請が、農業委員会に許可されているのは大きな問題だ。

 -実態調査を行うべきではないか。

 問題の土地がどれだけあるのか調べる必要がある。具体的な方策については市農業委と協議したい。

 -「抜け道」の悪用を防ぐ手立ては。

 農業委は(農地法の規制を受けない)転用後の土地には関与できない。農地転用の許認可を出す過程で、太陽光発電を行う意思があるかどうかを確認するための統一基準を設けるべきだ。国や県とも検討する必要がある。

 -市は農業振興に力を入れている。優良農地を安易に太陽光発電所に替えない方策はあるのか。

 問題の背景には、耕作放棄地の増加があるのだろう。後継者不足や農産物の価格低迷に頭を抱える生産者は少なくない。農業を生業として確立させるため、鳥獣被害対策の充実や新規就農者への支援強化を進め、担い手の育成を図る。