栄養価に優れた「昆虫食」の普及を目指し、徳島大学発ベンチャーの「大学シーズ研究所」(鳴門市)が、コオロギの粉末を練り込んだパン=写真=を発売した。主に健康維持が必要な災害備蓄用の食品として大学や自治体、教育機関、企業への販売を見込む。

 食用資源としてコオロギの生態や飼育方法を研究する三戸太郎・徳島大准教授のグループと開発した。乾燥させてすりつぶしたフタホシコオロギの粉をパンの生地に混ぜて作る。一般的なパンよりタンパク質を多く含むとする。チョコレート味で缶入り(100グラム)。1缶当たりコオロギ約30匹分の粉を使用している。

 昆虫食は、世界的な人口増加に伴う食糧危機対策として近年注目されている。同社によると、コオロギは高タンパク、低カロリーでビタミンやミネラルも豊富に含まれる。食材として生産するのに牛や豚より少ない餌で済み、環境にかかる負荷も小さいという。

 愛知県の社会福祉法人に製造を委託し300缶を試作した。賞味期限は5年で価格は税別600円。近く本格的に製造する。岡部慎司社長は「地球環境や食糧危機を考えるイベントなどでPRしたい」と話している。

 大学シーズ研究所は徳島大の持つ技術、特許などを利用した商品の開発、販売を目的に、タンパク質の構造分析を手掛けるアプロサイエンス(鳴門市)が資本金100万円を出資して2017年1月に設立。新規のタンパク質解析法や昆虫を使った機能性食品の開発を手掛け、18年4月期の売上高は1500万円。