浄化槽を検査する県環境技術センターの検査員=藍住町内

 「浄化槽の検査を求める通知が毎年来るけど、受けていない人も多いと聞く。不公平ではないか」。こんな声が徳島新聞夕刊編集部に寄せられた。取材すると、2017年度の徳島県全体の法定検査率は57・9%にとどまっていることが分かった。1回の検査料として5000円を支払わなければならないため、受けている人の不満は大きい。県は「指導してお願いするしかない」とするが、不公平感が生じている状況が続いている。

 浄化槽法では、浄化槽管理者に保守点検、清掃、検査の三つが義務付けられている。検査は、保守点検や清掃が適正に行われ、水質が汚濁していないか調べるのが目的で、年1回実施しなければならない。受けなかった場合は都道府県知事が指導、勧告、命令をでき、命令に従わなければ、30万円以下の過料に処せられる。

 徳島県の検査率は、2007年度には37・6%だった。年々上昇しているものの、依然として4割以上が受けていない。毎年検査を受ければ、10年間で支払う検査料は5万円になり、「まじめに受けている人が損をしている」という批判は根強い。

 未受検者に対しては、知事指定検査機関の県環境技術センターが電話や訪問で督促しているほか、県が文書で指導している。17年度は指導の結果、3・4%が検査を受けた。

 12年度からは、浄化槽を設置する際の県補助金を申請する必要書類に保守点検、清掃、検査を受ける業者や機関と結んだ契約書の提出を義務付けた。県では同年度以降は検査が徹底されているとみている。

 県や同センターによると、保守点検は約9割が受けているという。「異常や故障がないよう、定期的に点検はしておこうという意識は持たれているのだろう」と推測する。

 一方、検査については「保守点検によって維持管理はきちんとしている。なぜその上に費用を払ってまで検査しなければならないのか」「周りは検査していない。皆が受けたら、受ける」などの理由で拒むという。

 受検者からは「一罰百戒でないが、罰を与えなければ徹底されない。法で規定されているのに適用しないのはおかしい」との声も上がる。過料の罰則について環境省浄化槽推進室は「これまで適用事例について把握していない」としており、科せられたケースはないとみられる。16年度の全国状況は、命令はなく、勧告が2県で計7件だった。

 徳島県はこれまで勧告すらない。浄化槽法では、未受検の場合に加えて「生活環境の保全および公衆衛生上必要があると認めるとき」に、知事は勧告ができると規定されている。検査を受けなかっただけでは対象にならないとされ、県水・環境課は「これまで勧告に相当する事案はなかった」とする。

 検査率は、各都道府県で大きな開きがある。岐阜県や岡山県が9割を超えているのに対し、最下位の沖縄は7・3%など3府県は10%にも満たない。

 岐阜県は保守点検、清掃、検査を担う各業界団体や機関が協力し、一括して契約を結ぶ「県浄化槽らくらくプロジェクト促進協議会」を設立している。三つの義務に応じて個別に業者と行っていた契約を一元化させて、一律に実行される仕組みだ。県内全域が対象で、契約すれば料金が割り引かれ、修理費などが無料になる「生涯機能保証制度」も付く。

 県廃棄物対策課や同協議会は「それぞれの業者に頼んでいた煩わしさがなくなり、経済的な負担も軽減されるため、検査率の向上につながっている」としている。

 

 検査率は市町村で差 那賀91・6% 藍住48・7%

 


 検査率は、県内の市町村間でもばらつきがある。2017年度のトップは那賀町の91・6%。最も低い藍住町は48・7%で、倍近い差になっている。

 高いのは、那賀町に続き、海部郡内の3町。海陽町が85・7%、牟岐町が84・4%、美波町が83・8%となっている。上勝町、佐那河内村などが7割を超えた。

 低いのは主に都市部。徳島や鳴門など6市をはじめ、藍住町を除く板野郡内の4町が5割台にとどまる。

 高率の要因になっているのが、保守点検、清掃、検査を一括契約する協議会の設置だ。那賀町は県内で最も早く10年度に「町浄化槽らくらくあんしん協議会」を設けた。町も契約者に対して維持管理費の補助金を出している。

 一括契約の協議会は12年度に神山町、14年度に小松島、美馬、三好、勝浦、上勝、美波、牟岐、海陽、つるぎの3市6町が設けている。

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