医療機関に行きづらい

 【質問】70代女性です。数年前からトイレに行く回数が増え、外出してもトイレのことばかり気になって、長時間の外出や旅行に行くのをためらうようになりました。CMで過活動ぼうこうを知りましたが、医療機関に行くのが恥ずかしいので、「高齢のため」と自分に思い込ませ、受診できていません。病院は何科を受診すればいいですか。どんな診察をするのですか。

 髙橋クリニック 泌尿器科・耳鼻咽喉科(徳島市山城町西浜傍示)
 髙橋久弥院長

 負担のない検査で診断

 【答え】過活動ぼうこうは尿意切迫感(我慢することが困難な急激な尿意)が主症状で、他に頻尿や切迫性尿失禁を伴うこともある疾患です。高齢者に多く、寒くなると症状が悪化する傾向があります。

 潜在的患者は全国で約800万人といわれています。恥ずかしいとの理由で受診を我慢している患者が多いと考えられています。特に女性にこの傾向が強いようです。

 過活動ぼうこうが直接生命に影響を与えることはありません。とはいえ、不眠やそれに伴う日中の眠気、夜間トイレに行く際の転倒による骨折、精神的ストレスなど、生活の質の著しい低下が避けられません。

 原因は脳血管障害、脊髄障害、前立腺肥大などによる下部尿路閉塞(へいそく)をはじめ、骨盤底筋膜の弱まりなどが挙げられます。他の疾患でも同様の症状が起きることがあります。例えば、ぼうこうがんや前立腺がん、細菌性ぼうこう炎、ぼうこう結石、間質性ぼうこう炎、前立腺炎、多尿、心因性頻尿などです。

 過活動ぼうこうの診断には、以前はぼうこう内にセンサーを挿入する検査が行われていました。しかし、現在の診断基準では必須の検査ではありません。超音波検査、検尿、問診、排尿日誌など患者の体に負担のない検査で診断可能です。

 原因の疾患がはっきりしている場合は、その治療を優先します。一般的には薬物治療や生活指導、理学療法、ぼうこう訓練など、患者の体に負担の少ない安全な治療を症状に応じて選択します。

 過活動ぼうこうの投薬治療は、泌尿器科以外の医療機関でも可能です。それでも、生命に危険のあるぼうこうがんや前立腺がんなど重大な尿路疾患が隠れている可能性があるため、まずは泌尿器科の受診を勧めます。その上で、かかりつけ医に紹介してもらうと安心だと思います。生活の質向上のため、我慢せず積極的に治療を受けましょう。