大嘗祭に調進する「麁服」の制作に向けて山崎忌部神社の石段を直す会員=吉野川市山川町忌部山

 新天皇即位後の大嘗祭(だいじょうさい)に調進する麻織物「麁服(あらたえ)」の制作に携わる吉野川市山川町の山崎忌部(いんべ)神社の氏子らが「阿波忌部麁服調進協議会」(木村雅彦会長)を発足させた。神社周辺の環境整備や関連行事を計画するなどして、麁服の制作に向けて地域の機運を高める。

 山崎忌部神社では、美馬市木屋平で作られた麻糸を受け取り、巫女が機織り機で麁服を織る役割を担う。大正、昭和、平成の天皇即位後の大嘗祭でも制作に携わった。完成した麁服は再び木屋平に運んで、宮内庁に調進する。

 協議会は昨年秋に発足。氏子のほか、山川町内の自治会や各種団体の代表者ら約90人が参加している。予定では9月から約1カ月間が制作期間となる。会員は、平成の大嘗祭で世話人を務めた関係者から話を聞き、一連の工程や神事の内容などを調べている。

 約150段ある神社の石段は、麁服を運ぶ際の重要な通路となる。このため老朽化した石段を直したり、雑木を伐採したりと環境整備にも取り組んでいる。多くの人に関心を持ってもらおうと、麁服や大嘗祭をテーマにした講演会も計画している。神社総代の金谷佳和副会長(68)は「約30年ぶりの名誉な行事。最大限努力していく」と話した。

 美馬市木屋平では、昨年10月に地元のNPO法人あらたえ(西正二会長)が主催し、麻を育てる畑の地鎮祭があった。今年4月に種をまく予定。今後、協議会はNPOと連携して準備を進める。

 協議会は2月11日午後1時から同市山川町の市アメニティセンターで、大正天皇以降3代の大嘗祭で麁服を調進してきた三木家の当主・三木信夫氏を講師に招いた記念講演会を開く。入場無料。問い合わせは協議会<電090(5717)3734>。