PO進出を逃し号泣する徳島の渡㊧を抱きかかえるキャプテン岩尾=味の素スタジアム

 観客席を青く染めた徳島のサポーターにあいさつした後、徳島ヴォルティスのFW渡は泣き崩れた。「こんな大事な試合で役割を果たせなかった。僕の責任」。誰よりもチームの勝利へひたむきだった徳島のエースが何度も首を振った。
 
 仕事ができなかったわけではない。後半4分、右サイドを突破した馬渡のクロスに右足で合わせ、値千金の同点弾。その後の徳島の攻勢は、間違いなくエースが引き寄せたものだった。
 
 今シーズン23得点は自身にとってもクラブとしても最多。大事な前節大分戦で決勝点を奪ったほか、9月の町田戦のように敗色濃厚な試合を振り出しに戻したゴールも多かった。リーグ得点王争いは2位で終えたが、首位のイバ(横浜FC)がPK8本を含めた数字であることを考えれば事実上の王者と言っていい。
 
 当の本人は一度もおごる様子はなかった。「今季は(攻撃的なプレースタイルになり)周りがすごくチャンスをつくってくれるから」と、何度も仲間への感謝を繰り返していた。
 
 それだけに大一番で勝ちたかった。13分、16分に立て続けに放ったゴール前のシュートがGKに阻まれ、「2点目を取るチャンスがあったのに決めきれなかった」。
 
 涙をふき、インタビューに気丈に答えた渡は去る前に言った。「もう次の試合がないのが悲しい」。