三木元首相の実家を見学する住民ら=阿波市土成町吉田

 徳島県阿波市土成町吉田にある故三木武夫元首相の実家を解体して市が記念公園を整備する計画で、三木家側が解体工事の一時延期を決めたことが12日、分かった。解体についての地元住民の反応を知りたいというのが理由。

 11日、「解体が始まった」との新聞報道があり、市民の中には惜しむ声があると知った三木元首相の次男格氏(67)=東京都江東区、会社員=が延期を決めた。格氏は「土地を市のために役立ててほしいとの思いは変わらない。ひとまず住民の方々の考えを聞き、その上で工事を進めるかどうか判断したい」と述べた。

 住宅は木造平屋約110平方メートル。別の場所にあった生家が取り壊された後、1937年ごろまでに建てられ、三木元首相が選挙の際に事務所として利用した。築80年以上と老朽化しており、2000年ごろからは空き家になっていた。

 計画では、三木家側が費用を負担して解体工事を行った後、市が跡地(約1400平方メートル)の寄贈を受け、遍路が休憩できるあずまやや公衆トイレを備えた記念公園を整備する。工事は7日に始まり、2月中旬には更地にする予定だった。

 解体工事の延期について阿波市企画総務部の安丸学部長は「市に寄せられた意見を踏まえ、週明けにも親族と今後の対応を協議したい」と話した。

 保存か解体か 住民意見交換 現地を見学

 故三木元首相の実家を視察した上で解体について考えようと、阿波市の住民有志が12日、現地で意見交換会を開き、約30人が参加した。

 会の開催を呼び掛けた同市阿波町医王寺、建築家高橋利明さん(37)から建物の構造や素材などの説明を受けながら居間や寝室などを見学した。

 その後の話し合いでは「歴史的価値があるので壊すのはもったいない」、「町の宝として次の世代に残したい」との声が上がる一方、「保存する場合、維持管理費をどうするのか、誰が担い手となるのかなどの問題があって現実的ではない」とする意見もあった。

 高橋さんが中心となって意見をまとめ、後日親族と市に伝える。高橋さんは「保存するにしろ解体して活用するにしろ、いろいろな意見があることを多くの人に知ってもらいたい」と話した。