52年ぶりのフル出場を目指し練習に励む名東郡チーム。石本さん(写真左下)への追悼の意を込めて27人が選手登録した=佐那河内村中央運動公園

52年ぶりのフル出場を目指し練習に励む名東郡チーム。石本さん(写真左下)への追悼の意を込めて27人が選手登録した=佐那河内村中央運動公園

 来年1月の第64回徳島駅伝(徳島陸協、徳島県、徳島新聞社主催)に、名東郡チームが全43区間で出走する方針を立ててエントリーした。チームの強化や選手育成に尽くし、7月に76歳で亡くなった佐那河内村体協前会長の石本善之さん=同村下=への追悼の意を込めて27人が走る。選手不足からオープン参加が続いていたが、フル出場すれば1966年の12回大会以来52年ぶり、67年に佐那河内村だけとなってからは初めてとなる。
 
 石本さんはチームの生みの親として知られる。選手を集めて59年の5回大会で初出場を果たし、自身も2区間を走った。
 
 名東郡は選手層が薄く、69年の15回大会のオープン参加を最後に34年間、不参加が続いた。しかし、石本さんらが中心となって選手を募り、オープン参加ながら2004年の50回記念大会出場にこぎつけた。この間に佐那河内スポーツ少年団陸上部をつくり、小中学生に走る楽しさを教えてきたことが大きかった。
 
 選手数が足りず52回大会から再び不参加となったものの、村体協会長として選手の発掘や育成を継続し12年の58回大会から6年間、オープン参加を続けてきた。底上げが進み、前回は全43区間中36区間でたすきリレーが実現し、フル出場が目前になっていた。
 
 がんで石本さんが亡くなった後、藤本忠監督(46)=同村下、飲食業=が「全区間を走ることで、恩返しをしよう」と選手に呼び掛け、前回より3人多い27人が出走することになった。ほとんどが石本さんの教え子だ。
 
 フル出場のために大半が2区間に起用される。高校生や中学生が距離の長い一般区間を走る必要もあって容易ではない。藤本監督は「みんなが調整して集まってくれた。選手の数に余裕はないが、たすきをしっかりつなぎたい」と意気込む。
 
 徳島陸協の卯木英司会長は「人口が少ない地域での選手確保は大変な苦労があると思う。名東郡のフル出場で16郡市がそろい、例年以上にレースが盛り上がる」と歓迎している。