内閣府の幹部は言う。「統計をやっている人間であれば、こんなずさんな対応は普通あり得ない」。普通あり得ないことが、長期にわたって繰り返されたのには、よほどの事情があるはずである

 裁量労働制を巡る不適切データ問題や、中央省庁の障害者雇用水増しの見逃しなど、失態が続く厚生労働省。同省がまとめる「毎月勤労統計」でも、ずさんな調査が行われていたことが、新たに分かった

 勤労統計は、雇用保険の失業給付や労働災害に遭った人が受け取る休業補償の算定、政府の景気判断の材料などに使われる重要な統計だ。失業や労災といった人生の難局で、受け取る額が本来よりも少なくなった人は、延べ1973万人に上る。金額にして537億5千万円

 全対象者に不足分を追加支給するというが、現住所が分からない人や既に亡くなった人もいるだろう。国は埋め合わせのできない過ちを犯した

 「よほどの事情」を十分検証し、責任の所在を明確にするべきだ。統一地方選や参院選への影響を最小限に抑えようと、事態の早期収拾を図りたい意向のようだが、何をか言わんや

 一部の職員はそれを知りつつ、15年もの長きにわたり、不適切な調査は続いてきたのである。調査件数にもうそがあった。「ふざけんじゃねえ」と求職者。国民の気持ちを端的に示せばそうなる。