徳島大が2020年度に大学院を再編する構想を進めている。総合科学教育部と先端技術科学教育部を「創成科学研究科(仮称)」として統合する見通しだ。

 修士課程に、地域創成と臨床心理学、理工学、生物資源学の4専攻を設ける。過疎・高齢化やエネルギー問題などに対応できる人材の育成を目指すとしている。

 人工知能(AI)をはじめ先端技術は目まぐるしい発展を続けている。県内高等教育機関の中核として、世界に通用する人材を一人でも多く輩出することが期待される。

 学生本位を基本として教職員の声にも耳を傾けながら、時代の要請にかなった研究・教育体制となるよう改革に力を注いでもらいたい。

 徳島大は16年度に総合科学部と工学部を、農学系の生物資源産業学部など3学部に再編した。大学院再編はその1期生が卒業するのに合わせて行い、22年度には修士課程に続いて博士課程も改組する。

 大学院再編に当たっては、学部再編についても検証しなければならない。

 6次産業化がキーワードだった農学系学部の新設に際しては「徳島大の強みを生かし、従来の農学系とは一線を画した中身にする」との方針を掲げていた。これまでの成果を分析し、改めて方向性を明確にするべきである。

 ありのままの姿を外部の目にさらすことで、大学院再編をより充実したものにできるはずだ。徳島大の地域での役割について、改めて広く認識を共有しておきたい。

 大学を取り巻く環境は厳しさを増している。04年に国立大が法人化されて以降、国の財政事情から国立大の運営交付金は段階的に削減されてきた。少子化で多くの私立大は定員割れしている。

 文部科学省の推計では、40年には大学進学者が現在の8割程度の51万人に減るという。文科省は国立大同士の運営法人統合や私立大間の学部譲渡を進める意向を示す。

 昨年12月には名古屋大と岐阜大が統合に向けた基本合意書を締結した。他の地域でも統合に向けた検討が進んでおり、大学はさらなる経営改善努力が求められている。

 生き残りへ大学間競争は激しさを増していく。ダイナミックな合理化が各地で進む可能性もあり、ピンチをチャンスと捉える発想が大切だ。

 大学が活性化すれば、学生が地元で就職して地域や産業を支えるという好循環が生まれる。地域の将来に明かりをともし、人やモノの東京一極集中を是正していく力ともなるだろう。

 徳島大がその役割をしっかりと担うためには、地域のニーズを十分把握することが欠かせない。自治体や産業界と一層緊密に連携しながら、教育や研究の質を向上させていく必要がある。

 徳島の「知の拠点」として、大学院再編を契機に、これまで以上に存在感を示してもらいたい。