東京富士美術館名刀展          
              
 「鐵華繚乱-ものゝふの美」

13日から徳島城博物館

 平安時代から江戸時代に制作された名刀を紹介する企画展「鐵華繚乱(てっかりょうらん)-ものゝふの美」(実行委、徳島市、徳島新聞社主催)が13日から、徳島市の徳島城博物館で開かれる。東京富士美術館が所蔵する国指定重要文化財の太刀など50点余りを展示。日本刀の歴史と美しさに触れる機会となりそうだ。徳島城博物館の開館25周年を記念した展覧会で、2月12日まで。

国重文など50点 豪壮な甲冑類も展示

重要文化財 太刀「銘 有綱」
重要文化財 太刀「銘 一」
重要文化財 太刀「銘 備前國長船住近景 建武二年五月日」

 展示の目玉は、国重文の太刀「銘 有綱」「銘 一」「銘 備前國長船住近景(おさふねじゅうちかかげ)」の3振りがそろうこと。

 このうち「銘 有綱」は平安時代後期に作られ、刃の腰(下部)に反りが付く優雅な形状が特徴だ。有綱は伯耆(ほうき)国(鳥取県)で活躍した名工。現存する有綱作では最も優れた太刀として、1950年に国重文に指定された。日本刀が反りのある湾刀(わんとう)型になったのは平安期以降とされており、その最古の姿を今に伝える。

 重文以外にも、見応えのある刀がそろう。室町時代中期に作られた「銘 和泉守藤原兼定作(之定)」は、今回初めて公開される。兼定は美濃(みのう)国(岐阜県)の名工。切っ先に向かって反りが付く戦国時代の刀の特徴がよく表れている。兼定の刀は切れ味が鋭いことで知られ、江戸時代後期に行われた切れ味のランク付けで、最高位の「最上大業物(さいじょうおおわざもの)」の一つに数えられた。

 日本刀の産地としては、古くから美濃、備前(岡山県)大和(奈良県)山城(京都府)相州(神奈川県)がある。それぞれの地域の製造法は、美濃伝や大和伝など「五箇伝(ごかでん)」と称される。刀の形状や地鉄(じがね)(表面の模様)などに特徴があり、五箇伝を知ることが刀剣鑑賞の基本になる。今回、県内で初めて五箇伝の刀が一堂に集まり、日本刀の歴史が通覧できる。

紫糸裾白糸威胴丸具足

 刀剣だけでなく、豪壮な甲冑(かっちゅう)類も注目される。「紫糸裾白糸威胴丸具足(すそおどしどうまるぐそく)」は、安土桃山時代に作られた。かぶとや胴回り、大袖、籠手(こて)など数十カ所に施されている「丸に十字」の紋が目を引く。丸十字は薩摩藩・島津家の家紋として有名で、同家伝来の甲冑と考えられている。

「鉄錆地六十二間筋兜」

 本県関連では、徳島城博物館が所蔵する海部刀や、蜂須賀家ゆかりの甲冑などが展示される。1533(天文2)年に作られた刀「銘 阿州泰吉」は、県南部の海部川流域で作られた海部刀の歴史の中でも古い時期の刀だ。「湾(のた)れ刃」といわれる、ゆったりと波打つような刃文が特徴だ。

 甲冑類では徳島藩8代藩主宗鎮(むねしげ)が所有し、徳島市有形文化財に指定されている「紫糸威大鎧(よろい)」など5領が公開される。

 桑野あさひ学芸員は「歴史の中に息づく武家の美意識を感じてもらえたら」と話している。

名刀の魅力 多面的に鑑賞を

東京富士美術館館長 五木田聡

 青緑山水という東洋画の伝統を思い浮かべるような、美しい海と山河に囲まれた天地・徳島の奥深い歴史と文化を抱く徳島城博物館において、当館の刀剣コレクションの展覧会を開催していただける運びとなり、開催にご尽力いただきました主催者、関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。

 徳島藩の蜂須賀家政氏により徳島城が築かれたのは、豊臣秀吉が京の都に聚楽第(じゅらくだい)を築いたのと同じ1586(天正14)年頃のことです。折しも日本からヨーロッパに旅立った天正遣欧少年使節の4人の少年たちが、バチカン教皇の謁見(えっけん)を終えてポルトガルから帰路に就いた頃のことです。その戦国の動乱の世から4世紀を数え、いま刀剣は武器から美術品へと変わり、博物館で美術刀剣を鑑賞することはひとつのブームともなっています。

 当館所蔵の名刀展となる本展は、当館の刀剣をまとめて貸し出しする展覧会としては全国初の試みです。その見どころは、刀剣の「五箇伝」(相州伝=神奈川、美濃伝=岐阜、山城伝=京都、大和伝=奈良、備前伝=岡山の五つの主要生産地)がそろうことにより、刀剣の代表的な作風を見比べることができる総合展としての趣が生まれている点です。制作年代としても平安時代後期から江戸時代までの刀剣を通史的に見ることができます。その中には3振りの重要文化財が含まれており、本展で初公開される「之定」や、有名な「乕徹(こてつ)」が出品される点も見逃せません。

 また、鑑賞の際の工夫として、刀剣の見どころである刃文を見やすくした「刃文鑑賞展示ケース」が登場し、刀剣本来の鑑賞法が疑似体験できます。重要文化財の3振りについては、実物に加え、専用機器「ソード・スキャナー」で撮影した写真、押形(おしがた)を見比べることができるように展示されますので、名刀の魅力を堪能できると思います。

 さらに今回の展示では、ゲーム「刀剣乱舞」が原作のアニメ「活撃 刀剣乱舞」とのコラボレーションが実現し、アニメ原画展と同時開催となることも話題になるでしょう。館内でのコスプレや、兜(かぶと)や陣羽織の着用体験もできると伺っておりますので、「刀剣女子」をはじめ若い世代の刀剣ファンの皆さまにもぜひご来場いただきたいと願っています。