J1広島への完全移籍が決まった渡=5月27日、鳴門ポカリスエットスタジアム

 18日、J2徳島ヴォルティスからJ1広島への完全移籍が発表されたFW渡大生は、徳島での2年間で計35得点を挙げたシュート力だけではなく、チームのために最後まで走り抜く献身的な姿がサポーターの心をつかんだ。エースストライカーを失ったチームにとっては、来季開幕までの攻撃陣の補強が最大の課題となる。
 
 「上(J1)に行けるなら行ってみたい」。シーズン終了後の11月下旬、徳島新聞の取材にこう答えていた渡。広島を含め、少なくともJ1の3クラブが獲得に動いた。地元チームに完全移籍が決まり、「できることを日々100パーセントやりきり、サンフレッチェ広島のために頑張る」とコメントした。

 魅力はやはりシュート力だ。日本人でトップとなる今季の23得点の内訳は右足で10点、左足で5点、頭で8点とバランスが取れている。どんな体勢からでもゴールを決める巧みさが光った。

 シュート数に対する決定率も高かった。得点ランキングの10傑の中では25・3%のラリベイ(千葉)、シモビッチ(名古屋)の両外国人に次いで3番目の23%。途切れない集中力で土壇場に勝敗をひっくり返した試合も何度もある。11月11日のホーム大分戦での決勝ゴールは、サポーターらが選ぶ今季のベストゴールに決まった。

 ロドリゲス監督が志向する積極的なプレスも忠実に実践した。「試合終了までピッチに立とうなんて思ってない。いけるところまで走って相手を疲れさせ、交代して出た選手が点を取ってくれたらそれでいい」。何よりもチームの勝利にこだわる姿勢を貫いた。

 攻守の大黒柱だっただけに移籍の影響は計り知れない。特に攻撃陣は補強が急務になるだろう。徳島はこれまでにブラジル出身のMFカルリーニョスら7人が契約期間満了などで退団している。

 一方、富山一高のFW坪井(17)や静岡学園高のMF渡井(18)、浦和ユースのMF井澤(18)の新加入が決まっているが、いずれもまだ10代。フィジカル面を考えると、年間を通して高いパフォーマンスを維持することは難しいだろう。エースストライカーが体現してきた「徳島らしい」攻撃サッカーを継承し、J1再昇格を果たすためには新戦力の加入が望まれる。