ヒトラーのオリンピックと言われた1936年ベルリン五輪。その記録映画「民族の祭典」は、上映する国によって少しずつ内容が異なる。日本版には日の丸を掲げる場面も挿入されていた

 往年の名解説者・淀川長治さんは、「祭典」を最高の芸術作品と評した上で、封切り時の、戦前日本の雰囲気を思い返して、こんなことも言っていた。「いかにもヒトラーでしたね。この映画で日本人が全部ドイツびいきになった。それだけでも怖いと思いましたよ」

 近代五輪の父クーベルタンの理想もどこへやら。以降、五輪は政治の道具として利用されるようになった。ここ30年ほどは巨大なビジネスの場ともなり、多くが群がる

 今や五輪招致では、国際オリンピック委員会(IOC)委員の情報収集や票読みに当たるコンサルタントは不可欠とされる。話も、ややこしくなって当然だ。東京五輪の招致でも十数人と契約し、「海外コンサルタント費」として8億円近い支出を計上している

 招致を巡る贈収賄疑惑で、フランス当局が、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長を贈賄容疑者とする捜査の開始を決めた。会見で会長は不正を否定したが、国際的に通用するかどうか

 カネと権力。五輪にはぜい肉が付きすぎた。思い切った減量が必要だ-。そう言われて何年になるだろう。