2020年の東京五輪招致を巡る贈賄の容疑者として、フランス当局から正式捜査を開始された日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が記者会見し、改めて潔白を訴えた。

 だが、今まで話してきた域を出ず、質疑にも応じなかった。疑惑を払拭するには程遠く、不誠実な対応と言わざるを得ない。

 東京五輪の開催はあと1年半に迫っている。竹田氏は潔白の証明に全力を尽くすと述べたが、このままでは大会のイメージ低下など打撃を受けるのは避けられない。

 捜査に全面協力するのはもちろん、竹田氏やJOCは、自ら詳しく事実関係を説明すべきである。

 疑惑は、竹田氏が理事長を務めていた東京の招致委員会がシンガポールのコンサルタント会社・ブラックタイディングス社(BT社)に支払った2億円超の一部が、票の買収に使われたのではないかというものだ。

 BT社の代表は、当時国際オリンピック委員会(IOC)委員だったラミン・ディアク前国際陸連会長の息子と関係があったという。BT社を通じて、開催都市決定に影響力を持っていたディアク氏側に資金が流れたとの見立てである。

 会見で竹田氏は、ロビー活動と情報収集のコンサルタント業務でBT社と委託契約を結んだとし、支払いは業務への適切な対価だと強調した。

 しかし、2億円超が実際、何に使われたかは分からないままだ。疑惑が浮上した16年にJOCが設置した外部調査チームも、BT社から先の流れは解明できなかった。

 五輪招致では、情報収集や票読みに当たるコンサルタントの協力が不可欠なのは確かだろう。東京の招致委も十数人と契約し、寄付金や協賛金で集めた予算から、海外コンサルタント費として計7億8千万円の支出を計上した。

 ただ、BT社との契約は13年7月と、東京決定の約2カ月前だった。JOCは同7月と10月の2回に分けて送金したが、短期間の活動に対して具体的な業務内容も把握せず、2億円超もの大金を支払うものなのだろうか。

 JOCは、BT社が陸上関係者に強いとの情報があったとしているが、所在地はシンガポール郊外の古い公営住宅の一室で、実態は不明だ。

 ディアク親子はロシア陸上選手のドーピング隠蔽に関わったとされ、息子は、16年リオデジャネイロ五輪招致の買収疑惑でも中心人物と見られている。招致決定前にブラジル側が支払った金額は、東京と同じ2億円程度だ。

 竹田氏は会見で、BT社とディアク親子との関係は知らなかったと語った。そうだとしても、他の関係者はどうだったのか疑問は残る。JOCには、改めて真相解明に努める責任がある。

 IOCも五輪を巡る醜聞が繰り返されないよう、さらに改革を進めてもらいたい。