第64回徳島駅伝(徳島陸協、徳島県、徳島新聞社主催)の勝浦郡、名西郡の両チームで、仕事や育児に追われてレースを離れていたベテラン選手が、再びたすきをつなぐ。勝浦郡は猪谷友之さん(47)=勝浦町三渓、会社員=が6年ぶり、東山圭佑さん(32)=小松島市日開野町行地、会社員=が5年ぶりにそれぞれ復帰。名西郡では行天康平さん(34)=石井町浦庄、県警察官=が6年ぶりに出場する。「自分に負けたくない」「わが子に頑張る姿を見せたい」。それぞれの思いを胸に決戦に臨む。
勝浦郡の猪谷さんは、仕事が忙しくなりレースから離れていたが「出ていた頃が忘れられず、徳島駅伝は自分自身になくてはならないものだと気付いた」と一念発起。5月から毎朝20分の走り込みを続けて記録を伸ばした。「郡の代表として、そして何より自分自身に負けないよう精いっぱい走りたい」と汗を拭った。
東山さんは2012年に長女が生まれ、当時2歳だった長男と2人の子育てに専念するために駅伝から遠ざかっていた。長男は今年、小学1年生になり育児は一段落。5月から仕事の合間を縫って週2、3回の練習を積み、出場を決めた。「一生懸命に頑張れば、必ず結果が出るということを2人の子どもに伝えたい」と意気込む。
名西郡の行天さんは12年まで15回連続で出場したが、「高校生や大学生ら一人でも多くの現役競技者に大舞台を経験してもらいたい」と一線を引いた。
復帰するきっかけとなったのが、昨年4月から始めた県警駅伝競走大会での指導。走るのが苦手な若手警察官が懸命に練習する姿を見て、「自分も、もっと頑張れるのではないか」との思いを強くした。
中学3年生の時に出した第7区(美波町、3・0キロ)の区間記録9分17秒はいまだに破られていない。「出場するからには、チームの順位を一つでも上げられるよう全力で走りたい」と語った。