研究グループが美馬市脇町の国道で行った調査。特殊車両で人工的に揺れを起こし、地震波を観測した=昨年12月4日(石山准教授提供)

 東京大地震研究所が、徳島県内を走る中央構造線断層帯の断層面の形状を推定する調査に乗り出した。マグニチュード(M)7・3の阪神大震災を上回る規模の直下型地震を引き起こす恐れがあるものの、地下構造の詳細なデータはなかった。調査の進展で、より精緻な地震動予測につながることが期待される。

 調査は文部科学省の事業の一環で、同研究所地震予知研究センターの石山達也准教授(変動地形学)の研究グループが実施している。昨年11月下旬~12月中旬、美馬市脇町の国道193号の一部区間(4・8キロ)と阿波市土成町の国道318号の一部区間(6・4キロ)、愛媛県西条市で実地調査を行った。

 道路沿いに10メートル間隔で小型受震器などの観測機器を設置。特殊車両で人工的に揺れを起こして地層の境界部分で反射する地震波を観測した。

 断層面の形状を正確に把握するため、構造が異なる3地点を選んだ。今後解析作業を進め、地下数キロまでの形状を推定。2019年度末までに報告書をまとめる。結果は文科省ホームページに公表される。

 中央構造線断層帯は、地下深くの断層面が北側に傾斜していると推測されている。一方、地表に近い部分ではほぼ垂直の断層構造となっている地点が県内には多く、断層が深部に向かってどのような形状になっているか、ほとんど分かっていない。

 徳島大の専門家らによると、調査結果は中央構造線を震源とする地震の大きさや震度分布、発生源の推定につながる重要な資料となる。

 同大大学院の村田明広教授(構造地質学)は「掘削しなくても地下の地質構造を明らかにでき、吉野川沿いに堆積した軟らかい地盤の厚さなども分かるため、被害予測の充実化が図られる」と語った。

 《中央構造線断層帯》 紀伊半島から九州にまたがる国内最大級の活断層。政府の地震調査委員会の想定では、徳島県内の中央構造線を震源とする地震の30年以内の発生確率は、鳴門市―美馬市間(約52キロ)がM7・7程度で1%以下、美馬市―愛媛県西条市間(約82キロ)がM8・0以上で0・4%以下としている。いずれも阪神大震災の地震規模を上回り、甚大な被害が予想されている。