徳島県美馬市出身で元日本テレビキャスターの丸岡いずみさんが、うつ病に関する新著「休むことも生きること」(幻冬舎)を発表しました。自身がうつ病を克服した体験と、医師に取材した診断や治療薬に関する解説で構成しており、丸岡さんは「常備薬のように家庭に置いてもらえたら」とPR。丸岡さんにインタビューしました。
◆この本を出したのはなぜ?
うつ病は心の病ではなく、心身の許容量をオーバーして発症する脳の病気です。自分自身のうつ病体験を振り返りつつ、医師や専門家に取材した内容を組み合わせ、どうやってうつ病を治していくかを分かりやすく書きました。
うつ病体験をまとめた「仕事休んでうつ地獄に行ってきた」(2013年、主婦と生活社)を出版後、読者から質問が多く寄せられ、それに答えるものを…と思いましたが、自分の体験だけでは科学的な根拠に乏しい。大学院で心理学を専攻し、メンタルヘルスカウンセラー資格を取得して心理的側面については学んできました。報道畑を歩んできたこともあり、裏付けのしっかりした情報を提供したいと思って専門家に取材し、治療薬にも踏み込んだ内容にしました。
◆受診や治療薬に抵抗がある人が多いです。
私自身も最初は抵抗がありました。うつ病は、症状がさまざまです。私の場合は、いつまでも治らない原因不明の湿疹や下痢など体の症状が中心でした。体に症状が出やすい人、心理面に出やすい人、心身両方に出る人がいて、一人一人発症のきっかけも違います。受診に抵抗がある人も、何もなければそれでいいと気軽に考えて受診して。早めに受診すれば早く治ります。
◆療養中は徳島に?
美馬市の実家で療養し、家族や友人をはじめ古里の温かさに支えられました。自分自身の闘病を振り返って、休養は薬以上に大切だと実感しています。療養中は吉野川の土手沿いを歩き、山を眺め、自然に親しみました。古里が徳島で良かったと感じました。
◆うつ病を克服して、それまでの自分と変わった部分はありますか。
仕事に対する価値観が変わりました。それまでは仕事が人生のすべてでしたが、うつ病から回復して、仕事は人生の一部であって、それ以外の部分も充実させたいと思うようになりました。
◆現在不調を抱える人へのアドバイスをお願いします。
出口が見えづらい病気ですが、トンネルも抜け出すことができる。壁に当たった分だけ、つかめるものもある。信じて治療してください。
◆著書のPRを。
バリバリ働いていてうつ病とは無縁だと思っている人にこそ読んでほしいですね。また、患者を経験したから分かる気持ちを書いているので、ぜひ身近な人がうつ病と診断された人も参考にして。自分や周りの人もなるかもしれない身近な病気なので、常備薬のように家庭に置いてもらえたらうれしいです。
まるおか・いずみ 1971年、徳島県美馬市生まれ。元日本テレビ記者兼キャスター。2011年の東日本大震災の取材後、うつ病を発症。回復後、うつ病体験をまとめた「仕事休んでうつ地獄に行ってきた」を発表。テレビ出演の他、講演活動を行っている。