2018年も全国トップレベルの実力を備えた徳島県関係のアスリートの活躍が期待される。世界や国内の頂点を目指して心技体を磨く選手たちを紹介する。
女子柔道 嘉重春樺(18) 東大阪大敬愛高、藍住中出
光る集中力と闘争心
藍住中から東大阪大敬愛高に進み、才能を開花させた。昨夏、福島県で行われたインターハイの63キロ級で優勝。日本代表として出場した4日のベルギー国際でも栄冠に輝いた。高校3年間を振り返り、「柔道だけでなく、いろんな面で成長できた」と充実した表情を見せた。
158センチと小柄で、試合前の空き時間に同級生と談笑する姿は普通の女子高生と変わらない。チームの辻彩果主将は「いつも明るくてちょっと天然。でも、試合になると普段からは想像できないくらいの闘争心を見せる」と話す。
1月21日に大阪市で行われた大阪府女子柔道選手権でも強さを発揮した。体重に関係なく高校生と大学生、実業団選手が出場する無差別のトーナメント戦。決勝では、体重差が15キロ以上ある78キロ超級の実業団選手を果敢に攻めた。技ありで倒すとそのまま抑え込んで頂点に立ち、観客や大会関係者を驚かせた。
「大きな選手に投げ技は決まらないけど、相手が疲れると隙が出てくる」。床に背中を付けられないことだけを考え、どんどん技を仕掛けた。
平田勝美監督は「気持ちが強く、集中力が切れないのが彼女の持ち味」と評する。根気強く集中して練習を積んだ結果、スタミナがアップ。試合展開に応じて戦えるのも魅力と言う。
4歳で柔道を始めた。藍住中3年時の全国中学校体育大会で16強入りしたものの、「中学ではなかなか結果が出なかった」。当時、厳しく教えてくれた指導者から「高校で日本一になれ」と激励され、中学の先輩と同じ、敬愛高への進学を決めた。
入学直後は勝てず、監督や先輩によく怒られた。それまでの指導とは異なるため、基本的な技術指導さえ、理解できなかった。何度も説明を受け、練習で一つ一つ丁寧にやってみると、うまくいくようになった。
いつも心に留めているのは「誰もやらないことをやる」「先輩が後輩に気を使う」。登下校中の道にごみが落ちていれば拾い、柔道部員5人が生活する寮では後輩の弁当を作ることも。高校生活を振り返り、「妥協せず、何にでもこだわって取り組めるようになった」。
卒業後は環太平洋大に進学する。2020年の東京五輪出場を目指しており「63キロ級は誰が勝ってもおかしくない。自分にもチャンスはある」。持ち前の素直さと根気強さでさらに多くのことを吸収し、目標に挑む。