これは限界か。いや、まだ80代。できない理由を探すより、できる理由を考える。そうすれば人間、いくつになっても挑戦は可能だ。その生き様に、いつも驚かされてきた冒険家の三浦雄一郎さんだもの

 86歳で挑んだ南米大陸の最高峰アコンカグア(6959メートル)の登頂を断念した。本人は自信があったようだが、不整脈の持病も抱えている。スタッフの判断に従って、潔く引くべき時と心得たのだろう

 目標だった七大陸最高峰からのスキー滑降を、ここで成し遂げている。33年前、53歳の時だ。今回も滑り降りる計画だった。登頂の最高齢記録は87歳というから、意欲さえ失わなければ機会もあろう

 人は心から老いる。三浦さんも例外ではなかった。不摂生がたたってメタボ体型となり、65歳で狭心症の発作を起こした。魂にもぜい肉が付き、生きがいが見えなくなっていた、と著書「やめる勇気、やり遂げる心」(PHP研究所)にある

 そこから一念発起して、70と75、80歳は最高齢記録でエベレストの登頂に成功している。そんな三浦さんだ

 引き返そうが、立ち止まろうが、人はどの場所からでも前へ歩いていける。<一歩ずつ足を踏み出していけば、必ずいつかは夢の山頂に立つことができる。人生はそう信じて生きていくほうがよっぽど楽しい>。いくつになっても、である。