香港と徳島阿波おどり空港を結ぶ季節定期便が就航して、1カ月がたった。毎週水、土曜に1往復ずつの運航で、平均搭乗率は75・8%となっている。

 県が目標とする70%は上回ったものの、同じ路線で昨年1~3月に飛んだ連続チャーター便の83・8%には届いていない。

 季節定期便は3月末までだが、県はその後の通年運航を運航会社に求めている。実現するためには、搭乗実績を少しでも高めていくことが必要だろう。

 季節運航とはいえ、本県に初めて開設された国際定期路線である。通年化を果たし、長く維持したい。

 季節定期便の大半は観光利用で、香港からの団体ツアーが多い。徳島空港に到着した団体客は貸し切りバスを使い、人気の大歩危(三好市)や渦の道(鳴門市)、阿波おどり会館(徳島市)を巡り、中四国や大阪、兵庫へ足を運んでいるのが一般的だ。

 同じ航空会社が乗り入れている関西空港に到着して周遊し、徳島空港から帰るというケースやその逆も目立ち、効率のいい旅程を組むのに役立っているという。

 インバウンド(訪日外国人旅行者)の勢いは衰える気配がない。昨年は推計で3119万人に達し、初めて3千万の大台を超えた。この5年間では3倍増となった。消費額も4兆5064億円と過去最高を更新している。

 最近は個人旅行のリピーターが増えて訪問先が広域化し、地方の魅力に関心が高まっているという。

 だが、本県はいまだインバウンドを十分取り込めているとは言い難い。航路一つとっても、隣県の香川が香港と上海、台北、ソウルに、愛媛が上海とソウルにそれぞれ定期路線を持っているのに比べ、立ち遅れている。

 本県も7年前に、中国湖南省と定期チャーター便を就航したことがあるが、わずか2カ月余で休止された経緯がある。以降、定期路線の開設には至っていない。

 それだけに今回の香港線就航の機会を逃してはならない。インバウンド効果を県内に広げ、需要をつかみ、地域振興に生かすべきだ。

 まずは通年運航である。三好市の大歩危・祖谷地区が、地元団体による地道なPR活動の成果で香港や台湾の観光客誘致に成功しているものの、残念ながらほかに好例はない。搭乗率を高めるには、より魅力ある観光メニューを用意しなければならない。

 東北では、ローカル鉄道に乗って車窓の風景を楽しんでもらう企画が人気だという。細かなニーズを把握し、利用者を徳島に引きつける商品開発に官民が知恵を絞りたい。県民の香港行き需要を掘り起こすのも不可欠だ。

 香港線に続く新規路線の開設も進める必要がある。徳島空港に15億2千万円をかけて新設した国際線用ターミナルを、無駄にしてはならない。