プロ野球の12球団合同トライアウトが15日、広島市のマツダスタジアムで開かれ、広島を戦力外となった多田大輔捕手(21)=鳴門渦潮高出身=ら51選手(投手26人、野手25人)が参加した。各球団のスカウトら関係者や大勢のファンが見守る中、選手は懸命に持ち味をアピールした。

トライアウトはシート打撃方式で、1ストライク1ボールのボールカウントから行われた。投手は打者4人を相手に投げ、野手は対戦投手を代えて、4回ほど打席に立った。守りは交代で入った。

大勢のファンが見守る中行われたトライアウト。捕手は多田

多田は、日本代表「侍ジャパン」の経験を持つ、前ソフトバンクの大隣憲司(33)をはじめ、前巨人の土田瑞記(27)、左腕・乾真大(29)、中日の岸本淳希(21)の4投手と対戦した。土田に対しては変化球にバットが出ず見逃し三振、乾は空振り三振。大隣には初球から積極的に振ったが、バットが折れ、三塁ゴロとなった。最終打席で対戦した岸本にも積極的にバットを振るも4球目で空振り、捕手がこぼし、振り逃げとなり、快音は出なかった。守備でも走者が出た場面は少なく、長打力や強肩のアピールができないままトライアウトは幕を閉じた。

バットを強振する多田=広島市のマツダスタジアム
「後悔はしていない」

トライアウトを終えた多田は「結果は出なかったが、後悔していない」と感想を述べた。自由契約となった後、広島の練習場で、選手たちが練習を終えた後にトレーニングしてきた。バッティング練習はマシンが繰り出す球を打ち返すことがほとんどで、生きた球を打つのは1カ月半ぶりだった。速い球に打ち負けないようにと取り組んできたが、対峙(たいじ)した投手は、1軍などでの経験豊富な投手。この日の出来はよく、二軍でも出場機会が少なかった多田にとっては、やや不運にも感じられた。変化球で封じられ「ピッチャーの方も抑えてやろうという思いでやってきている。結果がつく世界なので仕方ない」と語った。

トライアウトを、3年間すごした広島の本拠地・マツダスタジアムで迎えた。打席で名前がアナウンスされる度に、ひときわ大きな歓声が送られた。「(トライアウトを)地元のスタジアムでできたのはよかった」と話す。これまで支えてくれたファンへの感謝の気持ちをプレーで示したかったが、結果を残せなかったことを残念がった。

今後については「NPB以外は考えていない」とし、当面は他球団から連絡が来ることを願ってを待つ。「今日の結果だと厳しいかもしれないが、連絡を待ちたい。いつでもいけるように準備はしておきたい」

守備での出番を終え、ベンチに戻る多田
ファンは現役続行を願う

トライアウト会場には、多田のユニフォームを着たファンがいた。広島県福山市から4人で訪れた家族は、トライアウト終了後、多田選手に一言声を掛けようと、日が傾き、肌寒くなる中を待っていた。昨年のファン感謝祭から、多田選手を応援しているといい、「優しくて、ファンへの気遣いにも触れファンになった。どこかでユニフォームを着て野球を続けてくれたら」と現役続行を願った。長年、広島を見続けてきたファンの男性も「チームには捕手が多く、編成上、自由契約は仕方なかったのかもしれないが、かわいそうなところもある」と話す。多田は、この日参加した中では、もっとも下の学年。「21歳とまだ若く、成長できるはず」と、プロ選手としてキャリアが続くことを期待した。

トライアウト最後の打席で一塁へ向かって走る多田