徳島県内の公立高校普通科に設けられている学区制を巡って一部市町長が廃止を県教委に求めていく意向を表明する中、徳島県内全24市町村のうち半数の12市町長が学区制を「廃止すべきだ」と考えていることが、徳島新聞が24市町村長を対象に行ったアンケートで明らかになった。特に徳島市周辺で同市内の学区外になる市町で目立った。「廃止すべきでない」も12市町村長に上った。学区制に関しては住民の間でも多様な意見があり、住民の代表である首長の考えが表面化したことで、今後議論を呼びそうだ。
廃止を求めたのは鳴門や小松島、板野、石井など。廃止に反対したのは徳島や阿南、松茂、藍住などだった。
廃止すべきだとした首長のうち今後県教委に求めていく考えがあるかとの問いでは、既に意向を表明している鳴門や板野、石井を含む6市町が「ある」とし、積極的に動く意思を示した。
学区制の必要性については、廃止を求めた鳴門や北島など12市町が「必要でない」と答えた。理由(複数回答)については、「受験生の選択の幅を狭めている」が11市町、「人口流入や定着の阻害要因になっている」が7市町に上った。
徳島や美波など9市町村は「必要であり、現行の区割りも妥当」と回答。阿南、吉野川、三好の3市は「必要だが、現行の区割りは見直すべきだ」とした。阿南は「松茂町など5町村に認められている規定をなくした上で、第3学区の範囲を拡大するべきだ」と指摘。三好は、地域の実情に合わせて入学者数などを近隣市町村と調整するよう求めた。吉野川は「学区外から第3学区への合格者数が募集定員の8%以内が妥当なのかを検証すべきだ」とした。
必要とした理由(同)は、「徳島市内の高校に生徒が集中するから」と「地域の高校に通う地元の子どもが減るから」が多くを占めた。
自治体内や自治体周辺にある地域の高校の在り方に対する県教委への要望(同)では、「学力の向上」が最も多く17市町村が挙げた。「特色ある活動づくり」が16市町、「地域貢献活動の推進」が16市町村、「学科の再編・新設」と「県外からの流入支援」がそれぞれ8市町と続いた。