立春にはいくぶん早いけれど、吉報は氷も溶かす。<春かぜに/花ひらく、/かの人の来るらし。>(金億「花の訓(をし)へ」)。阿南市の富岡西が、第91回選抜高校野球大会への出場を決めた

 グラウンドを他部と共用し、練習時間にも制約がある。そんな中、昨秋の四国大会では、有力私学を退ける鮮やかな戦いで4強に進出。清掃などの地域貢献活動も評価され、戦力以外の特色も加味する21世紀枠に選ばれた

 「質実剛健」を校訓とする同校である。野球部は1900(明治33)年創部というから120年になる。野球が日本に紹介されたのが1872年で、本県に上陸したのは98年のこと。徳島野球のあけぼのに足跡を刻むチームである

 世紀を一つ飛び越えた長い歴史で、春夏通じて初めての甲子園となる。全国でも唯一、市役所に専門課まである「野球のまち」で、関係者の喜びは格別だろう。県民として共に喜びたい

 大会の開幕は3月23日。野球どころ四国での3位は、各地の代表に引けを取ることはない。あと2カ月足らず。入念に調整し、「はつらつ若き胸張りて」、晴れの舞台で存分に輝こう

 県勢のセンバツ出場は、2014年の池田以来、5年ぶり。<春風やまりを投げたき草の原>。野球を愛した子規のごとく、久しぶりに心が沸き立つ春となりそうである。健闘を祈る。