徳島県の高校野球史に新たな一ページが加わる。

 第91回全国選抜大会に富岡西高校が21世紀枠で出場することが決まった。同校としては春夏を通じて初の甲子園出場。21世紀枠で選ばれるのは2010年の川島、11年の城南に続き3校目となる。

 1900年の創部から120年越しの悲願達成に、選手はもちろん、卒業生の喜びはひとしおだろう。祝福するとともに選手たちの頑張りをたたえたい。

 昨年秋の県大会は準決勝で惜敗し、徳島県3位校として四国大会に進んだ。1回戦で高知県2位の高知、準々決勝で愛媛県1位の帝京第五に勝利。準決勝で敗れたものの、徳島の上位2校が準々決勝で姿を消す中、唯一の4強入りを果たした。

 小川浩監督が目指すのは、ノーサインで選手が自ら考えて試合を動かす野球である。四国大会でその成果が表れ、選手は浮橋幸太投手を中心にしっかり守り、伸び伸びとプレーした。有力私学を退けての快進撃は見事だった。

 県勢は14年の池田を最後に、選抜大会に出場していない。高校野球関係者だけでなく、県民にとっても久しぶりに心浮き立つ春になりそうだ。力の限り応援しよう。

 21世紀枠は過疎などの困難な状況の克服や、他校の模範となる活動などを選考に加味して決まる。

 富岡西の創立は1896(明治29)年。123年の歴史があり、県内有数の進学校として県南部の人材を集める。野球部の創部は城南に次いで早く、文武を両立させながら歴史を刻んできた。

 勉学や汽車通学を考慮し、練習は午後7時ごろまでと短い。グラウンドも他部と共用しており、打撃ではフライを上げない練習を徹底。工夫して技術を高めてきた。進学校ならではの取り組みが、21世紀枠として評価された。

 もう一つ忘れてならないのは、野球好きが多い阿南市の土地柄だ。

 市内のスポーツ少年団は子どもたちの育成に熱心で、多くのプロ野球選手を輩出してきた。市は「野球のまち」と銘打って、還暦野球などの草野球大会を開催。県南部健康運動公園に屋内練習ができる施設も造り、夏の大会前には地元高校に開放している。

 選抜大会に出場する北信越の高校の合宿も受け入れ、15年は選抜優勝校の敦賀気比(福井)、18年は8強の日本航空石川(石川)が訪れた。練習試合の対戦相手として富岡西も関わり、全国レベルの力を体験する機会になっている。同校初の甲子園出場は、市を挙げて野球を振興してきた成果と言えるだろう。

 3月23日の選抜大会開幕まで、残り2カ月足らず。富岡西ナインには、平常心で練習に励んでもらいたい。

 選ばれたのは21世紀枠だが、四国3位の実力は他校に引けを取らない。郷土の代表としての誇りを胸に、堂々と甲子園の土を踏んでほしい。