徳島県がとくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)事業で県文化振興財団に支払った業務委託料に違法性があるとして委託料5160万円を県に返還させるよう飯泉嘉門知事に求めていた住民監査請求で、県監査委員は9日までに請求を棄却した。
請求は、2016年度の第九演奏会の委託料増額分3660万円と短編映画祭でのシネマオーケストラの委託料1500万円を合わせた計5160万円の随意契約について「主な業務を民間事業者に再委託しており、財団が業務を受託できる唯一の団体ではない」などと違法性を指摘していた。
これに対し、監査結果は「業務の主たる部分は、財団が担っている演奏会の総合調整であるとの県の見解は一定の合理性がある。財団を選んだことに裁量の逸脱や濫用(らんよう)があったとはいえない」とした。
請求で「『ボーカロイド(合成音声)の出演に適した音響とする』などの表現を加えた薄弱な資料を基に、第九演奏会の委託料を増額している」との指摘に関しては「文書に記載された文言は簡略だが、変更内容については十分検討を経た上で行われている。手続きは適切だ」としている。
監査請求した市民オンブズマンとくしまの大久保初子代表は「納得のいかない結果だ。住民訴訟を起こしたい」と話している。