徳島県内では未公開の世界各国の名画や傑作シネマを、会員制の上映会で紹介してきた「徳島でみれない映画をみる会」が今月、創立30周年を迎えた。節目を記念し、12~14日に徳島市寺島本町東2のヨンデンプラザ徳島で「ポスター展」を開く。映画ファンの心をくすぐる名作ポスター165点を展示、徳島の映画文化向上に貢献してきた会の30年の歩みもたどる内容になっている。入場無料。
展示ポスターのうち、反政府派の監督が亡命先から軍政下の母国チリに潜入したドキュメンタリー「戒厳令下チリ潜入記」(1986年)は、記念すべき第1回上映作品。会員に人気の高かったイラン映画「運動靴と赤い金魚」(97年)は同国初のアカデミー賞外国語映画賞候補作だ。
このほか、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの小説を名優アンソニー・ホプキンス主演で映像化した「日の名残り」(93年)など、名作そろいの歴代上映作品から厳選した。
さらに、上映作品のパンフレットやチラシなども約400点展示。会員に毎月配布している機関紙「シネマフレンド」のバックナンバーなども並ぶ。
会は88年1月、初代会長を務めた篠原和男さん(85)=阿南市中林町、現顧問=を中心に、映画好きの有志25人で結成。ほぼ月1回の割合で、昨年12月までに383作品を上映してきた。
運営委員8人が収集した情報を基に話し合って上映作品を決め、会費のみでフィルムのレンタル代や場所代をやりくりし、自主運営を貫いている。現在の会員は約500人。
結成以来、特に力を入れているのがアジアの作品紹介で、91年には「東アジア映画祭」と銘打ち、「紅(あか)いコーリャン」のチャン・イーモウ監督ら中国・台湾・韓国の作品を集中的に上映。この十数年、徳島市中心部から上映館が次々と姿を消す中、映画文化の火をともそうと、地道な活動を続けてきた。
福永二郎事務局長(61)=徳島市南二軒屋町1=は「会の活動を知ってもらい、大きなスクリーンで大勢の人と楽しみを共有する映画本来の醍醐味(だいごみ)を感じてもらえれば」と来場を呼び掛けている。
13日午後1時からは徳島市のホテルグランドパレス徳島で、記念パーティーと篠原顧問の講話「映画鑑賞運動について」がある。参加費5千円。
問い合わせは、みる会<電088(631)5847>。