鳥インフルエンザが疑われる事例が発生した香川県さぬき市の養鶏場=10日午後4時23分(共同通信社ヘリから)

鳥インフルエンザが疑われる事例が発生した香川県さぬき市の養鶏場=10日午後4時23分(共同通信社ヘリから)

 香川県は10日、さぬき市の養鶏場で、高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が発生したと発表した。簡易検査で鶏11羽中3羽から鳥インフルエンザの陽性反応が出た。確定すれば、家畜としてはこの冬1例目で四国での発生は初。県は遺伝子検査で病原性ウイルスと確認され次第、11日に殺処分を始める方針で、約5万1千羽が対象となる見通し。

 この養鶏場は徳島県西部の食品会社が運営しており、鶏の移動を自粛した。香川県は殺処分開始と同時に、この養鶏場を含む半径3キロ圏内のさぬき市の9農場に鶏や卵などの持ち出しや持ち込みを禁じる「移動制限」を、同3~10キロ圏内にある県内18農場に持ち出しを禁じる「搬出制限」をそれぞれかける方針だ。現場周辺は既に消毒した。

 県によると、10日午前9時15分ごろ、養鶏場の鶏舎15棟のうちの1棟で飼育していた約6千羽のうち、55羽が死んでいるのを管理者が発見し、直ちに県に届けた。8棟で肉用鶏約5万1千羽を飼育中で、他の7棟に鶏はいなかった。

 養鶏場周辺で鳥インフルエンザが疑われるような野鳥の死骸などは見つかっておらず、鶏舎の窓などは閉まっていたため、県は、感染した外部の野鳥などが入り込んだ可能性は低いとしている。

 農林水産省は10日午後2時から防疫対策本部を開催。浜田恵造知事を本部長とする対策本部を設置した県と連携し、迅速な対応を取ることを申し合わせた。斎藤健農相は「まん延を防止するため防疫措置を確実に実施してほしい」と述べた。

 ◆鳥インフルエンザ A型インフルエンザウイルスによる鳥の病気。高病原性に感染すると多くが死ぬ。環境省によると、2016年秋から17年春にかけ全国で流行し、野鳥で高病原性ウイルスを検出した件数は、過去最多だった10~11年を超えた。人が鶏肉や卵を食べても感染しないとされるが、海外では、生きた鳥を扱う市場などで日常的に濃厚接触して感染したとの報告もある。世界保健機関(WHO)は、ウイルス遺伝子の変異による新型インフルエンザの発生を警戒している。