オンダン農協の施設出入り口で消毒を受ける車両=海陽町大井

オンダン農協の施設出入り口で消毒を受ける車両=海陽町大井

 香川県さぬき市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの疑い事例が発生した問題で、養鶏場を運営する徳島県西部の食品会社は11日午前、再実施となった遺伝子検査の結果にやきもきしながら対応に当たった。徳島県内の養鶏農家では、感染を防ぐ対策を取るなどの動きが相次いだ。

 養鶏場を運営する食品会社は10日深夜、香川県から翌日の再検査となったことが伝えられた。同日夜には本社の社員数人が現場へ応援に向かい対応に当たっている。専務は「検査の結果を待つしかない。鳥インフルエンザではないことを祈っている」と話した。

 徳島県内の養鶏農家は、感染が確認された場合に備え対応を進めた。阿波尾鶏の加工販売会社「丸本」(海陽町)グループで養鶏業務を行う「オンダン農業協同組合」(同)は朝から、飼育を委託している県内21農場で消毒用の消石灰を鶏舎周辺に散布。養鶏場や施設出入り口に設けられている車両消毒ゲートでは、職員が手作業で殺菌液を吹き付けたり目視で除菌箇所を確かめたりして細心の注意を払っていた。

 同組合は、さぬき市の事例が遺伝子検査で陽性と確定すれば、香川県への出張制限などの対応を検討する。川田拓也理事は「今後も防疫対策を徹底していきたい」と述べた。

 徳島市は各部の副部長級職員ら24人が出席して危機管理会議を開き、検査結果に関わらず計13万羽を飼育する市内7戸の養鶏農家に消石灰を配ることを確認した。


 ◆徳島県、養鶏農家250戸を聞き取り

 香川県さぬき市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が見つかった問題で、徳島県は11日午前、県内約250戸の養鶏農家に衛生管理の徹底を促すとともに、異常がないかどうかについて聞き取り調査を始めた。

 家畜保健衛生所の職員が手分けして電話連絡に当たった。香川県での事例発生を伝えた上で、鶏舎を覆うネットが破れていないかどうかの点検や消毒の徹底といった防疫対策を改めて要請。複数の鶏が死ぬ事例が発生していないかの確認などを進めている。

 吉野川市鴨島町の旧農業研究所鴨島分場で備蓄している消毒用の消石灰を、さぬき市に隣接する阿波、美馬両市の一部の養鶏農家から順次配っていくことも決め、準備に入った。