香川県さぬき市の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの疑い事例が発生した問題で、県は11日、ウイルスの遺伝子を再検査した結果、高病原性の鳥インフルエンザウイルスを確認したと発表した。これを受け、県職員らが鶏約9万2千羽の殺処分を開始した。家畜で病原性ウイルスが確認されたのは全国で今季1例目で、四国での発生は初めて。
香川県は11日、検査結果や防疫措置などに関する鳥インフルエンザ対策本部会議を開催した。
この養鶏場は徳島県西部の食品会社が運営。香川県は10日に実施した最初の遺伝子検査で結論を明確に出せず、11日に県と農林水産省が再検査のため鶏から血液などを再び採取し、検査していた。
県は感染拡大防止のため、この養鶏場とその半径3キロ圏内にあるさぬき市の8農場に鶏や卵などの持ち出しや持ち込みを禁じる「移動制限」を、同3~10キロ圏内にある県内18農場と徳島県阿波市市場町の1農場に持ち出しを禁じる「搬出制限」を設定。畜産関係の車両を対象とした消毒地点を周辺に設けた消毒はすでに実施中で、継続する。
搬出制限の対象となった阿波市市場町の農場には、徳島県が11日、鶏の健康状態を確認したところ、異常は見られなかった。
搬出制限は香川県や農水省が鳥インフルエンザの感染状況を見て解除を判断する。
現場の養鶏場では8日に33羽、9日に55羽が死に、通常1日で死ぬ10羽程度を大きく上回った。9日の55羽を対象にした民間の獣医師による簡易検査では、鳥インフルの陰性反応が出たという。10日午前に養鶏場で55羽が死んでいるのが見つかったのを受けて県が簡易検査し、11羽中3羽で陽性反応が出たため、遺伝子検査を実施していた。
安倍晋三首相は11日、鳥インフルエンザウイルスが確認されたことを受け、農林水産省をはじめとする関係省庁に「緊密に連携し、徹底した防疫措置を迅速に進めること」などと指示した。